応募59作品の中から選考された
(グラフィック13作品・映像3作品)を
ご紹介いたします。

日本画とピクトグラムの融合

日本画とピクトグラムの融合

伝えたいモノ・コトの名称

日本のアートとデザイン

伝えたい内容・魅力

美術史とデザイン史において日本が世界に与えた影響の一つとして、1964年の東京オリンピックで「施設シンボル」にピクトグラムをデザインしたことが挙げられるのではないかと考えました。
そんな日本発とも言えるピクトグラムを使って、名画の表現を試みました。陰影をつけず、平面的に表現する日本画と、対象を単純化して簡潔に表すピクトグラムとの間には、どこか共通する精神性があると思います。

多摩美術大学 渋谷 柚葉

気候風土との共生・活用・SDGs

気候風土との共生・活用・SDGs

伝えたいモノ・コトの名称

細工蒲鉾の鯛

伝えたい内容・魅力

平安時代に広まった恵比寿信仰。左脇に抱えた鯛が「めでたい」に通じるといった語呂合わせから江戸時代には全国で尾頭付きの鯛が祝い膳に並ぶようになった。引出物を近所にお裾分けする文化がある富山では、鯛の漁獲が少ないため他の獲れる魚を原料にした細工蒲鉾の鯛が生まれた。蒲鉾なので日持ちがよくお裾分けの切り分けが簡単にでき捨てる部分が無いため無駄がなく引出物の定番になった。現在の日本は年間523万トンの食品ロスがあり、限りある資源の減少や環境負荷の増大・地球温暖化等に影響を及ぼしているが、無駄がない細工蒲鉾の鯛は気候風土との共生・活用・SDGs(食品ロス)の観点において誇れる伝統食と言える。

田村 貞夫 (東京都)

箱に宿る。

箱に宿る。

伝えたいモノ・コトの名称

大館曲げわっぱ

場所・地域

秋田県大館市一帯

伝えたい内容・魅力

奈良時代にきこりが杉柾で曲物の器を作り始め、その技法が受け継がれ、時が流れる中で1602年、佐竹氏の領地が常陸から秋田へと移封されました。この頃、領民は窮乏し日々の糧すら不足していました。大館城主の佐竹西家は、領内に広がる豊かな森林資源に着目し、窮乏を打破すべく、下級武士たちに対して副業として曲げわっぱの制作を奨励しました。この重要な決断が、曲げわっぱの誕生とともに、領民に新たな収入源をもたらしました。
そして今もなお、その当時の伝統的な技法が変わらずに受け継がれ、職人たちは手間暇をかけ、丁寧に曲げわっぱを制作し続けています。この手仕事の継承は、歴史の深みを感じさせ、同時に日本の伝統と職人の誇りを象徴しています。

専門学校日本デザイナー芸術学院 白塚山 葵

Think Peace

Think Peace

伝えたいモノ・コトの名称

和菓子デザイン

伝えたい内容・魅力

和菓子。
その繊細さを味わえるのも、過去に平和を守るために血と涙を流し、その犠牲となった人たちがいて、それを受け継いできたからこそ。飴細工の鳩のイメージに戦争を象徴する弾丸を入れることで、平和を考えるキッカケにし、和菓子を楽しめる日常にあって、世界各地の紛争を、そこで暮らす子どもたちのことを想ってほしい。

Goyen Chen (Taiwan)

繋ぎ目

繋ぎ目

伝えたいモノ・コトの名称

縁側、外と内の交流

場所・地域

地球、未来

伝えたい内容・魅力

平安時代に造られた寝殿づくりの建物で、室温調整や屋外の景観を広く見せるなどの目的で設けられ、社交空間にも利用されたという縁側。縁側のある建物は、外と内とを明確に分けてしまうのではなく、相互に受け合い、交流する場として機能するものであると考えて表現しました。

専門学校日本デザイナー芸術学院 髙橋 大空

例えば、球体を作るのは難しい。

伝えたいモノ・コトの名称

日本の技術力

場所・地域

地球、未来

伝えたい内容・魅力

日本には素晴らしい技術力があるが、私たちは生活の中で見逃していると思う。その中には全く世間から注目されていないものもある。このような積み重ねで本来あるべき日本の魅力が埋もれてしまわないように、また、技術力ということを通して未来を作っていけるようにと思い制作をしました。

名古屋学芸大学 東 心温

米を“造”る

米を“造”る

伝えたいモノ・コトの名称

日本の稲作

伝えたい内容・魅力

日本の食文化の中心である米を支える稲作。
元々は一株にせいぜい数十粒実る程度だったのが、日本で稲作が始まった縄文時代から、何世代にもわたる人々による品種改良や土壌改良によって、今では米1粒から約500粒が実るほどに進化しました。
自らも稲作に携わった宮沢賢治が、稲を「まったくのいきもの、まったくの精巧な機械」と表現したように稲作は自然と人間の共助によって発展した我が国の誇るべきテクノロジーです。
この作品では、稲そのものとそれを支える人間の力強さ、そして自然と科学の融合を表現しました。

塚田 誠也

Mt. HI RA ME KI

伝えたいモノ・コトの名称

富士山

場所・地域

山梨県&静岡県

伝えたい内容・魅力

2013年に「富士山-信仰の対象と芸術の源泉-」として世界文化遺産に登録された富士山。「芸術の源泉」とあるように、富士山は日本人をはじめ海外の芸術家にも多大なインスピレーションを与え、これまでに富士山を題材とした数多くの芸術作品が生まれてきました。「芸術の源泉」富士山がある日本からは、これからも世界が驚く新しい芸術やひらめきが多数生まれてくると考え、その想いやイメージを、富士山を用いた独自のビジュアルで表現しました。

株式会社 山梨シール印刷 デザイン部

アートディレクター:桝田 明男

デザイナー:名取 慧人/櫻井 晴人

コピーライター(DRESSERS):石川 久士

日本画とピクトグラムの融合

ヨセ木 ステ木

伝えたいモノ・コトの名称

寄木細工

場所・地域

神奈川県足柄下郡箱根町

伝えたい内容・魅力

江戸時代、多種多様の樹種がある箱根山地から生み出された寄木細工。その名の通り様々な木々を寄せ集め、木材が持つ色彩と木目を組み合わせて、およそ60種類の幾何学模様を作り上げています。現代、環境都市の実現に向けて日本全国で再び木の温もりが求められている中、箱根が誇る多様性に富んだ工芸品「寄木細工」が、新たな日本像を作り出す好例となるのではないでしょうか。この作品はそんな寄木細工が作り出す新たな日本像と、箱根町の景観や箱根駅伝の選手・芦ノ湖の海賊船を組み合わせた作品です。

鴫原 侑来

木桶造りを次世代へ繋ぐ

伝えたいモノ・コトの名称

醸造用の木桶

場所・地域

全国29カ所の醤油蔵

伝えたい内容・魅力

地域固有の食文化を次世代へ継ぐ蔵人たちの取り組み
かつて醤油は木桶で発酵熟成されていた。発酵に大きな役割を果たすのは、木桶に棲みつく無数の微生物。風土によって異なる様々な微生物と土地固有の気候が相まって、地域ごとに独特の香りと味の醤油を生み、多彩な郷土料理を支えてきた。しかし、大量生産・大量消費を前提とした近代化が進むとともに、木桶の多くはFRPやコンクリート製に置き換えられ、効率は上がったものの味は均質化してしまう。木桶の需要がなくなれば桶職人は消え、木桶醤油もまた途絶える。危機感を募らせた一人の蔵人が仲間と自ら木桶づくりを始め、やがて全国28の蔵元が伝統再興と次世代の人づくりに挑んだ。
自然の力と人の技で醸す木桶醤油は、持続可能性と多様性が問われる今、未来へ継ぐ食と産業のあり方をさし示している。

株式会社 エディターシップ

クリエイティブディレクター/コピー
:村上 健

株式会社 博報堂プロダクツ 
デザイン:西川 肇

株式会社 東京グラフィックデザイナーズ 
プロデュース/撮影:菅原 孝司

Veil of Japan

伝えたいモノ・コトの名称

土佐 典具帖紙

場所・地域

高知県 ひだか村 
ひだか和紙有限会社

伝えたい内容・魅力

伝えたい内容・魅力日本が守り続けている、伝統的工芸「和紙」。
「流し漉き」と呼ばれる技術で、天然の植物繊維を絡ませて作られる和紙は、その強靭な保存性と環境へのやさしさで世界からSDGsの視点でも評価されています。1880年に誕生した「土佐典具帖紙」は、世界一の薄さを誇る和紙。人の肌の角質層と同じ、0.02mmという透き通るような質感は、まるで透明なベール。「土佐典具帖紙」は、日本古来の書物や仏像等、和の文化財修復に用いられてきました。未来に残したい歴史と文化を自然由来の紙の優しいベールが、1000年を超えて守り続ける。

株式会社 東急エージェンシー Depart.

エグゼクティブクリエイティブディレクター
:高橋 宏之

アートディレクター
:蒲生 勇治

コピーライター(Natsme)
:夏目 茂佳

撮影:株式会社アン

Veil of Japan_1
Veil of Japan_2
Veil of Japan_3

“Veil of Japan”映像では、漆黒の空間の中、まるで和紙を梳いた時のように水から現れ、その軽さゆえに浮遊し、美しく風に舞う姿を撮影。美しい光と影がおりなすビジュアルで、世界一薄い「土佐典具帖紙」に宿る、唯一無二の存在感を表現しました。

WAJIMANU RE BORN

伝えたいモノ・コトの名称

伝統工芸 輪島塗

場所・地域

石川県輪島市

伝えたい内容・魅力

「WAJIMANU RE BORN」は1000年以上の歴史を持つ輪島塗のRe BORN(新たに生まれ変わる)を目的に2023年に誕生した新しい伝統工芸プロジェクトです。地元職人の方々の「日本に留まらず世界中に輪島塗の魅力を伝えていきたい」という思いから、国籍を問わずニーズの高い「ファッション×輪島塗」として身につける伝統工芸をコンセプトにスタートしました。しかしそんな折、令和6年能登半島地震により多くの輪島塗職人が被災。プロジェクトの継続が危ぶまれています。(本作品を応募している24年1月時点では被害状況の把握が難しいため)本映像は23年夏に輪島市で撮影されたものです。美しい輪島の風景と職人たちの平穏な日々が一日でも早く戻ることを願っています。

株式会社たきコーポレーション 
デザイナー:藤井 賢二

プロデューサー:内山 堅

エグゼクティブクリエイティブディレクター
(株式会社ヌシヤ):浦出 真由

アカウントエグゼクティブ
(株式会社sio):塩士 裕史

2024年1月1日、能登半島地震。
昨年、当社(たきコーポレーション)の女性社員が地元の石川県輪島市へUターン。そこで輪島塗のプロジェクトに縁が出来ました。私どもはこの状況を受け、少しでも何か出来ることはないか、模索しておりました。
本展覧会を通して、多くの皆さまに輪島塗復興に向けた活動を理解いただき、その一助になれたらと思います。
皆さまもどうか、能登、輪島、輪島塗へのご支援をお願いいたします。