|
■第1部
講演「ケーススタディで語る、仕事とクリエイティブの実際」 |
|
「(株)エージー/鈴木みのり」 |
|
|
75年間もの間、ロングセラーとなり、今なおヒットを飛ばすカゴメ株式会社の定番商品「カゴメトマトジュース」。そのブランド戦略に1972年から携わってきた広告制作会社の立場から、きわめて実際的・実践的な広告戦略が紹介された。長い歴史をもつカゴメCMの時系列的分析から、ヘビーユーザーの価値文脈、カゴメ総合研究所によるトマトの成分分析結果など、豊富で多角的な調査・統計資料をもとに、ユーザーへの訴求効果などを発表。それらを踏まえた商品イメージ、提案された広告の具体例などが提示された。また、同ブランドから発売する他商品への波及効果なども報告された。
最後に広告業界を目指す学生たちへ、クライアントとともに仕事を行うことの喜びや、「毎日が違うことの繰り返し」と、クリエイターとしてのやりがいを語り、エールを送った。 |
|
「(株)スタヂオ・ユニ/軍司直人+佐藤昭一+川畑豊」 |
|
|
世界的な百貨店の歴史から伊勢丹の成り立ち、その後40年あまりに渡る広告展開の状況を紹介。そうした歴史の俯瞰を通し、クライアントと一体となって進める協働者としての目線から、広告戦略の構築と広告表現のあり方が追究、提示された。バブル経済崩壊を転機として、消費者の多様化を背景に生まれた、‘ファッションの伊勢丹’というブランドアイデンティティ。その確立に向けた総合的なコンセプトづくりを中心に、(株)スタヂオ・ユニにおける伊勢丹九州初出店のためのオープン広告制作の実務、別館伊勢丹メンズ館立ち上げに伴うさまざまな取り組み、成果が紹介された。 |
|
「(株)ズームデザイン/佐藤勇」 |
|
|
パナソニック/デジカムのキャンペーン企画・制作における具体的なプロセスやノウハウを提示。企画からプレゼンテーションに至る作業フローやロケーティング、撮影、マッキントッシュによる画像処理など、広告制作遂行に役立つ実践的な話題が提供された。話の折々に、実際に起きた失敗譚など、現場ならではの精彩に富んだエピソードがユーモアを交えて紹介され、軽快なトークで会場を沸かせる一面もあった。また一方で、制作現場と印刷現場のインフラの格差など、デジタル環境ならでは問題点や入稿スケジュールを遵守することの必要性やその厳しさなど、業界ならではのシビアな一面を感じさせる、忌憚のない意見も述べられた。 |