THE ORGANIZATION OF ADVERTISING CREATION
OAC 社団法人 日本広告制作協会
NEWS! イベント&セミナー情報
■第3回「広告制作業における知的所有権セミナー」

開催日 2004年10月26日(火)午後2時〜午後5時
会場 フォーラム8(渋谷)
講演者 渡部 秀人氏((株)電通 CRマネジメント局 広告表現コンサルティング部部長)
講演 「広告クリエーティブ作業における法務と実務」
主催 「経営部会」知的所有権委員会

今年で第3回を重ねる「広告制作業における知的所有権セミナー」が、10月26日に開催された。今年は、昨年に引き続き渡部秀人氏を講師に迎え、広告制作の実務レベルで役立つという観点でお話をお願いした。
参加者は正会員34社・54名、賛助会員11社・33名、一般8社・10名、合計53社・97名となった。
 

簡単ではあるがセミナーのようすをお伝えします。
<主な内容>
今年のセミナーのキーワードは「クレーム」
著作権や肖像権といった知的所有権のほか、さまざまな法的・倫理的側面からクレームについて話は進められた。
クレームがゼロの広告などありえない
「クレームは有るもの」というのが渡部氏の考え方の大前提である。有名な飲料メーカーCMを会場で流し、参加者にクレームを考えてもらった。大多数の人が好感を抱くCMでも、クレームを書くことはできた。
制作現場ではクレームレベルの識別が重要
渡部氏はクレームを5段階のレベルに分けた。講演はこの基準に沿って、さまざまな側面からのクレームについて、事例を引き合いに話は進んだ。
クレームは、著作権と肖像権、不正競争防止法でほとんどを占める。法律や判例があり、クレームの正当性はそれに沿って検討・判断することができる。
著作権のクレームは、複製権の侵害について多数を占める。自由に利用できる場合も著作者の許可をとることも多い。
肖像権は一般の人にはプライバシー権があり、群衆写真などを使用する場合には注意を要する。経済的な権利が認められているパブリシティ権は、主にタレント及びスポーツプレーヤーが対象となり、肖像を使用しなくても本人と特定できる場合は、クレームの対象となる。
不正競争防止法では、他者の屋号や商号など、またそれらに酷似したものを使用した場合のクレームが多い。
広告ビジュアルの被写体やモチーフについて、ブランド管理やマイナスイメー ジを防ぐため、クレームがくる場合がある。法的には問題ない場合でも、モラルや取引関係の中での配慮が制作現場に求められることが多い。
クレームへの対応
渡部氏は講演のまとめとしてクレームへの対応について話した。
最低限すべきこととして、どこ(連絡先)のだれ(個人、団体)がどんな手段(手紙、電話、FAX、メールetc)でどんなクレーム(文句、見解、要求)をつけているかを確認する。
客観的に冷静に判断して対応する。クレーム対応の100%マニュアル化は難しく、個々都度に対応するほうがトラブル防止につながる。

最後に、講演の最初に行った「クレームを書く」に対して、「クレームに答える」をセミナー参加者に求めた。書くのは簡単だが答えるのは困難であることが実感できた。
渡部氏によれば「クレームは制作に携わった者でなければ適切に対応できない」とのこと。
発注側の担当者を含めた制作現場での判断が何よりも大切であると、多くの参加者がそんなことを感じたであろうセミナーであった。
 
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