■第2部
「Webビジネスの課題」をテーマに、OAC会員社のプロデューサーやディレクターによる円卓形式でのディスカッションとなった第2部。第1部で講演をいただいたお二方にも参加いただき、8名のメンバーでディスカッションを行ないました。また、26名の聴講者も加え、熱い意見の交換が行われました。
まずは、司会進行の梅本氏からディスカッションのテーマについて説明。
「コスト」「人材」「制作ワークフロー」「社員教育」「品質管理」「料金体系」など、Webビジネスにおけるさまざまな課題がある中で、まずは参加者それぞれが抱える課題と自社の強みを共有するという流れでディスカッションがスタートしました。
<自社の課題>
- 管理面での課題(コスト、品質、進行、人材リソース)
- 紙媒体のデザインを如何にしてWebで再現するか
- ITリテラシー不足からシステム開発が含まれた案件への対応が困難
- 若手社員のディレクター職への育成が困難
- グラフィック系社員とWeb系社員の世代のギャップ(グラフィックはベテラン、Webは若年層が多い)
- コストバランスと多様化する顧客要望のマッチングをどう図るか
- プロモーションに掛けるコストの全体的な減少でコストが厳しい
- 作業量と請求額のバランス。作業工数の「見える化」が請求額の説得には重要
<自社の強み>
- 運用更新案件が得意で売上構成比率も高く安定している
- グラフィックとWebだけでなく映像コンテンツ制作にも特化しており、既にクロスメディア展開を推進している
- 少子化→国内のクリエイターの減少→アジア諸国とのクリエイティブのコラボレーション模索中
- 企業Web担当部門が、広報・コーポレートから宣伝部に移行するケースが増加。クリエイティブに対する理解が高まる
<コスト・料金体系>
- コストの考え方→ページ数?ファイル数?作業工数?
- 作業開始前の予算設計をしっかりとしておく。もし予定工数からオーバーする可能性がある場合は、作業を止めて交渉。
- ある制作会社では、10年来工数(人月)で見積り提示している。クライアントが依頼してきた作業がコスト・見積に直結していることを認識してもらいたい。
(制作会社はみんな「工数(人月)」で見積りを作成しよう!という意見もあり)
<品質管理>/<社員教育>
- グラフィックデザインスキルをベースとしたWebデザインと、テクノロジー/プログラミングを背景としたWeb構築。これらを両立できる人材は、現在は非常に少なくなっている。一方で、約10年前(インターネット環境の拡大期)にグラフィックデザインを経験しWeb制作に転向したクリエイターは非常に多く、そういったクリエイター達が現在ではディレクター/プロデューサークラスの職にキャリアアップしている。
このようなグラフィックとWebの両方を理解しているディレクター/プロデューサーの下で、デザインとHtmlコーディング、プログラミングを分業し品質管理の課題を解決していく、という方法が最善ではないか
- 社員のスキル教育も、グラフィック系クリエイターへのWeb技術の教育を行うだけでなく、Web→グラフィックも重要。品質管理と社員教育は表裏一体の課題である、という意見も。
最後に、第2回のワークショップでのディスカッションテーマを共有しました。
- Web、グラフィック、映像制作編集のクロスメディア展開を如何にして訴求し、受注につなげるか意見交換したい。
- コンペへの参画企業が増加し、参加企業のジャンルも多岐に渡っている(同業の制作会社以外にメディアレップ系、代理店などが競合になる事が増加)。その中でどのように差別化し、受注していくのか意見交換したい。(営業展開の視点)
- 制作ワークフローを策定することの効果について。ワークフローにおけるデザインワークの制約と自由度の課題をどのように解決するのか?(制作ワークフローの視点)
- モバイルコンテンツ制作の実態について知りたい。
以上のポイントから、今後、Web制作ビジネスをどのように拡大するかという営業的視点と、メディア領域の多様化(グラフィック/Web/映像/モバイル)と表現の融合の課題、システム開発の関連する制作案件への対応方法等について、今後もディスカッションを進めていきます。