THE ORGANIZATION OF ADVERTISING CREATION
OAC 社団法人 日本広告制作協会
NEWS! イベント&セミナー情報
■ビジュアル・ユニバーサル・デザイン講座

ビジュアル・ユニバーサル・デザイン講座
日 時 2011年7月25日(月)18:30〜20:30
会 場 OAC事務局
参加者 9名
講 師 東洋インキ(株) 武田 一孝氏
博報堂プロダクツ岡本 知久氏

錦明印刷、根立氏が司会進行として挨拶を行いセミナーが始まりました。

カラーユニバーサル デザインについて
東洋インキ(株)武田氏の講義。

日本国内の色覚障がいを抱える方は、およそ320万人(世界では2億人以上と推定されています)、日本人男性の20人に1人の割合で発症していると言われています(男性はその確率が5%、女性は0.2%)。男性に多い色覚障がい。なお、2003年度から文部科学省は健康診断項目から色覚検査を削除しました。いじめの対象になるなどの理由のようです。今の大学1年生以下は、その検査を受けていないことになります。

さて、以前は「色盲」と言う呼称で呼ばれケースが多かった「色覚障がい」ですが、現在も医療の現場では「色覚異常」ですし、「色弱者」と言う呼び方もあり今後その呼称の統一を期待する声も出始めています。

◆色覚障がい
*第1色覚障がい(P型:Protanope)
 原因:赤色錐体(視細胞)の欠落による。
 症状:赤が黒っぽく見えてしまう。  赤⇒ 黒■
     緑が茶色っぽく見えてしまう。 緑⇒ 茶
 (先天的 色覚障がいの約25%)

*第2色覚障がい(D型:Deuteranope)
 原因:緑色錐体(視細胞)の欠落による。
 症状:赤が茶っぽく見えてしまう。  赤⇒ 茶
     緑が茶っぽく見えてしまう。  緑⇒ 茶
 (先天的 色覚障がいの約75%)

このどちらも、鈍い色彩に見えてしまいます。

*第3色覚障がい(T型:Tritanope)
 原因:青色錐体(視細胞)の欠落による。
 症状:黄色が赤っぽく見えてしまう。黄⇒ 赤
     青が緑っぽく見えてしまう。  青⇒ 緑
 (先天的 色覚障がいの約0.02%)
 ※高齢化に伴う発症が多い

この後、実際に色覚障がいを持つ方に、世の中はどのように見えているか信号やサイン看板、商品などの事例を紹介していただきました。そうなのか、と改めて驚きがありました。
このような中、各企業のカラーユニバーサルデザインへの取り組みが拡大しており、その実例を紹介。最後に東洋インキ(株)の無料シュミレーションソフト、UDingシミュレーターの紹介が行なわれました。実際に色覚障がいを持つ方がどのように見え、それを回避し「伝わる、区別できる」ようにすることを可能にしたソフト。今回の参加者にも、そのソフトが配布されました。

だれにとってもやさしいデザインであるということ
博報堂プロダクツ 岡本氏の講義。

@「ユニバーサルデザインとは」
・誰もが普通に使いやすいデザイン
(年齢、性別、国籍、身体機能に関係なく)

【 原則 1 】 公平な使い勝手
多様な能力の人々にとって使いやすく市場性をもつデザイン

【 原則 2 】 柔軟な使い勝手
幅広い個人の嗜好や能力に適応するデザイン

【 原則 3 】 単純で直感的な使い勝手
利用者の経験や知識、言語能力、またはその時の集中力にかかわらず、使い方がわかりやすいデザイン

【 原則 4 】 知覚情報
周囲の状況や利用者の知覚能力にかかわらず、必要な情報を効果的に伝えるデザイン

【 原則 5 】 間違いへの許容
誤ったり意図しない行動に対し、事故や有害な結果を最小限に抑えるデザイン

【 原則 6 】 少ない肉体的労力
最低限の疲労で効果的かつ快適に使えるデザイン

【 原則 7 】 接近と使用に十分な大きさと空間
利用者の体格や体勢、移動能力にかかわらず、接近や到達、操作、利用に適切な大きさと空間を擁するデザイン

この後、各企業の商品実例を紹介。斜めドラムの洗濯機(子ども、車椅子、健常者誰でも使いやすい)、アイロン、ハサミ(右利きだけでなく左利きの方も使える、使いやすいもの)、トイレ(肘掛を設置)、リモコン(色の扱いや数字の大きさ)、体温計(数字表示部の大きさと数字の大きさ)などが紹介された。

■サインデザインの重要性(空港:ヨーロッパのハブ空港を例に)
ヨーロッパのハブ空港では、様々な国籍、様々な言語の方が行き交う。また、各国の言語の見え方も様々であり、その全てに対応することが必要とされている。
そのためにアイコンの重要性もある。トイレはトイレとして認識されなければならない。デザインし過ぎて伝わらないことは避けなければならない。
アドリアン・フルティガー - Wikipedia
(シャルル・ド・ゴール空港、ロンドン地下鉄などのサイン計画、書体)紹介

■アップル社
マッキントッシュの初期コンセプトは「子どもも使えるコンピュータ」。説明書は無い。使えば判るという、思想。iPadも先進的で、読みやすさと美しさを追求している。

■ユニバーサルデザインは情報自体も対象である
災害情報や食品衛生、医療や財産の保持に関わることなどは、公平に確実に誰にでも伝わらなければならない。障がいを持つ方だけを意識したものではなく、彼らが特別視されることなく「誰にでも使える、誰にでも伝わる」ものでなければならない。

(例)障がい者用トイレ
誰でも使ってよいトイレであるべき。

A手法
何を伝えたいか。何が重要か。伝え方をどうするか。
・文字がはっきりしていること
・文字が読みやすいこと
・意味がわかること(文章内容がわかること)
・色覚障がい者にわかるカラーマネジメントであること

○文章の構成要素の整理
・情報の優先順位を明確にしよう。

○フォント・文字の大きさ
・見出し、本文、キャプションを明確にしよう。
*高齢者を考慮すると本文は12ポイント以上の大きさ。
*文字のカタチがわかりやすいものを選ぶ
*行間に関しては、50%、75%をベースに、適材適所に。
  タテ組み、ヨコ組み、ゆったりした感じ、詰まった感じ・・・。

Bテクニック
・グリッドデザイン
ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン - Wikipedia

・3と言う数字を意識する。
・A4には3mmの正方形がびっしり並ぶ。
・3mm=12Q
・紙面デザインにおいて、例えば36Qのタイトルで本文が12Q。キャプションを9Qに設定、写真を入れる幅も3の倍数で計画すると文字面はどこかで必ず合う。
・サインデザインの場合、サインボードの中心は地面から1350mmの位置を基本とする。
・美術館などの展示説明パネルなどは、床面からパネル中心が1450mm〜1550mm1を基本としている。
・上部で見やすい範囲は(高所でレイアウトした場合)床面から、2600mmまでで設計すべき。
・グラフ・図表はシンプルに。
・情報の流れをつくり、どこから読んでいくか交通整理を図る。
・細部と全体を常に行き来する(原寸を意識してみる)。

以上の内容で講義は終了し、次回8月1日(月)の第2回目までに制作し、発表してもらうための課題が提示された。

【課題】
東京都の広報誌、都議会便りの2点をユニバーサルデザインを意識したものに作りかえる。

さて、次回発表の場へつづく。

参加者のみなさん 東洋インキ武田さんの講義がはじまりました
参加者のみなさん 東洋インキ武田さんの講義がはじまりました
第1部終了間際 博報堂プロダクツ岡本さんの講義がはじまりました
第1部終了間際 博報堂プロダクツ岡本さんの講義がはじまりました



copyright(c)OAC.All rights reserved.