THE ORGANIZATION OF ADVERTISING CREATION
OAC 社団法人 日本広告制作協会
NEWS! イベント&セミナー情報
■クリセン11月10日の開催報告
第5回クリエイティブワークショップ「クリセン」for ビギナーズ

開催日 2012年11月10日(土)14:00〜18:20
講 師 ADKアーツ 山本宏雄氏
参加者数 社会人3名、学生13名 計16名

第5回「コピーライティング」
〜言葉のチカラを知る3時間〜




山本さんの自己紹介から始まりました。
また、山本さんは参加者一人一人に声を掛け、まずはリラックスした気分を作っていきます。

さて、講義です。

コピーってそもそもなんだろう?
みんなに答えさせていきます。

そして山本さんからは、

コピーとは、国、企業、団体、個人にある目的を最も効率的に到達させるための言葉。
最も効率的に目的を達成できればいい!
面白ければさらにいい!


と言います。

さて、これからは全てワークショップ形式で実際に書いてもらいます。

○クリエイティブ・フラワー


■課題1
1,まず、真ん中の言葉に関連する言葉を思いつくだけ書く(3分)。



ペンの音だけが響きます。

2,次に、最も「クリスマス」に相応しいと思えるものを真ん中に書き、それから連想するものをまた周りに書いていきます。






3,今度は、その中から最も遠いなと思えるものを真ん中に書き、またそれから連想するものを書いていきます。

流れで見ていくと

○クリスマス ⇒ 靴下 ⇒ 臭い ⇒ 犬

○クリスマス ⇒ 天皇誕生日 ⇒ 外交問題 ⇒ ベンツ


など様々です。

最後に、今までのことを踏まえて「クリスマス」と言う言葉を入れてキャッチコピーをつくる。
出てきたのは、

○クリスマスプレゼントはサンタの靴下
○クリスマスはお金で解決
○今年のクリスマスの三角関係は二等辺三角形
○青春時代のクリスマスはただの勘違い
○クリスマス用レタスあります
○田舎にだってクリスマスはある


等々。 山本さんは言います。今まで行った方法は、自分の常識や自分の使える言葉から離れて、言葉のアイデアを生み出す方法です。離れれば、離れるほど新しい言葉になっていきます。けれど、離れすぎると同時に、斬新な言葉にはなりますが、コミュニケーションが成立しない言葉にもなります。でも、この単語を探すということ、そして組み合わせるということが、言葉づくりではとても大事です。



第1のシートからは離れるほど、自分が普段使わない言葉の組み合わせができる!

例えば、
「一瞬も、一生も、美しく。」
化粧品や資生堂といった言葉を真ん中に置いて出てくる言葉ですよね。ひとつひとつは、よく使う言葉、一番目のシート、二番目のシートで出てくるであろう言葉ですが、それを組み合わせることにより、強く、資生堂という企業の姿勢を表現するコピーになっています。

例えば、
「何も足さない、何も引かない。」
添加物は使っていません→足さない。材料を減らしたりはしていません→引かない。という機能的なところから、言葉を発想して、ウイスキーの特徴を強く表すコピーになっています。

コピーを考える上で、まず大切なのは、

○使える単語をふやすこと。
○その組み合わせを考えること。


よく、「コピーを100コ書け!」と言われるのは、上記2つのことを自分の使える単語、常識的な言葉から離れて見つけ出す必要があるからです。このときクリエイティブ・フラワーという方法は、単語をふやすこと、そしてその組み合わせを、考えることを客観的に見られる方法です。


■課題2
実際は写真なのですが、お父さんと娘がクリスマスツリーの飾りつけをしているところがスライドに映し出されました。



さて、これに言葉を付けてみよう。

○念願のマイホーム
○いつもよりもお父さん
○エコな暮らし
○思い出
○ツリーの高さに負けない女の子のワクワク感


こんな言葉が出てきました。
さて、今度は



同じ写真にauと入ったら?みんなでまた書き出します。

○写真を撮ろうよ、お父さん
○このツリーの前でTV電話を使おう
○家族の木、みんなの木
○これは全てauのスマホで買いました
○最後に話したのはいつですか
○つながるきっかけがここのある


これではどうでしょう?



キャノンのプリンタだったら。

○君が大人になる前に
○思い出はJpegじゃ軽すぎる
○思い出を飾ろう
○色を咲かそう


ある写真から連想した言葉を自由に書いたコピーと、企業名や会社名を入れたコピーの違いをみてください。前者の場合は、ただの写真の説明ですよね。でも後半に書いたものは、広告のコピーに近づいています。目的を把握してビジュアルに合わせて言葉を書くと広告になります。ロゴと写真だけでも広告はできる、という人がいます。実際そういう場合もあります。
しかし、
本当にいいコピーは、目的とデザインを強く結びつける。

だから広告からコピーはなくならないのです。
この後、山本さんの手がけた事例を紹介してもらい、本日の最終課題にはいります。

■課題3
宣伝会議などではできない実践的な方法で展開しました。



山本さんからカタログが配布され、その中からまずすぐれている特徴を見つけるところからスタート。

商品名:NEC VALUESTAR N

特徴
○場所をとらない
○離れたところからリモコン操作できる
○TVが見られる。
○画質が良い
○ブルーレイも付いている
○高音質
○ゲームとつないでプレーできる


TV・オーディオ・レコーダー・PC
ほぼTVとして売っている。
価格は10万くらい。

じゃあ、どういうコンセプトで売ればいいの

さあ、みんな考え始めます。



○TVしか見られないTVなんてもういらない
○TVもパソコンもこれ1台
○家事以外は俺がやる ⇒ (クライアントなら、家事以外って何って聞くよ)
○浮いたお金でおいしいごはん ⇒ (PCのこと言ってくれないんだ)
○何台も買わずに済んじゃいます


・・・と、様々な案が出てきましたが、全体的な雰囲気はあるけれど商品に落とし込めていないものが多いです。その中で、大きく二つのコンセプトがでてきました。

1,一人暮らしのAV機器は、これ1台だけでOK。
(1台だけで、テレビもレコーダもオーディオも手に入るから節約になる、狭い部屋を有効に使える。)

2,一人暮らしをもっと楽しめるパソコン。
(ひとりでも、友達とでも、様々な楽しい使い方ができる)

この2つのコンセプトでコピーを書き始めましたが、実際に書きはじめると、1,のコンセプトのコピーが優勢でした。

○自由で多機能なPC
○いろんな機能が楽しめる ⇒ (どこのPCでも言えるかも)
○キメラ家電 ⇒ (通じる?)
○狭い場所を劇場にも映画館にも・・・⇒ (長い)
○スマート新生活。ネットも友達
○【特徴をすべて言うパターン】
*内容を忘れましたが、全部言い切る。
○今どき、どんな部屋に住むのかよりも、どんなパソコンを部屋に置くかでできることは変わってくる。
ハイスペックなVALUESTAR Nで一段上のひとり暮らしへ。


・・・様々なコピーが出てきて今度はそれを壁に貼りだしました。

最後に、人間生きていれば、必ずいい言葉をどこかで言っているはず。
それは誰もがコピーライターになれるという証でもあります。けれど、 誰もがコピーライターにはなれないのは、いい言葉をいい言葉として自分できちんと選べるかという視点があるかないか。良いものを選ぶ眼も養ってほしい。と、山本さん。
みんな、それぞれ広告として効くと思ったものに付箋を付けていきます。



<みんながいちばんに選んだコピー>

テレビも、
DVDレコーダも、
オーディオも、
親におねだりするの?

テレビも、レコーダも、オーディオもこれ一台。
NECのVALUESTAR

節約、お金のシビアな時代だからこそ、親に迷惑をかけたくない。と考える若者も多い時代。
そこを考えると、いまの若者は、よりお金をかけず、よりいい暮らしをしたいと考えるようです。



<二番目に投票が多かったコピー>

今どき、どんな部屋に住むのかよりも
どんなパソコンを部屋に置くかで、
できることは変わってくる。

ハイスペックなVALUESTAR Nで、一段上のひとり暮らしへ。



さて、時間を1時間半もオーバーした今回のクリセンですが、山本さんのユーモラス且つ熱い講義であっと言う間に時は流れました。この後の懇親会にも、ほとんどの方が参加され、山本さんから参考になる書籍の紹介など飲みながらも講義の続きが展開されていました。

山本さん、1日ありがとうございました。また、集中して各課題に取り組んでくれた参加者のみなさん、お疲れさまでした。きっと今後に活きてくると思います。


copyright(c)OAC.All rights reserved.