ユニバーサル・デザイン
必要なメッセージが公平に伝わり、より多くの人が利用可能なデザイン。その実践として「ユニバーサル・デザイン」と言う手法がある。
年齢、性別、身体機能、国籍などに捉われず、初めから出来るだけ全ての人が利用しやすいように考えられたデザイン。
ユニバーサル・デザイン例の紹介。
岡本さんからまず製品事例の紹介が行われました。
ドラム型洗濯機・左右利き手に関わらず使えるハサミ・体温計・リモコン・・・
いろんな製品があります。また、アップルの製品には説明書がない。これは一般の人に使ってもらえるよう、子供でも使えるコンピュータと言う思想でできているんですって。
更に、言語が違っても通じる例としてハブ空港が取り上げられ、シャルル・ド・ゴール空港のサイン計画を担当したアドリアン・フルテガーを例に、誰もが判りやすい書体の開発などが紹介されました。
アドリアン・フルテガー(人物)
フルテガー(書体)
また、バリアフリーや人間工学はユニバーサル・デザインの一部であると言います。
*下記のサイトも参考にご覧ください。
浜松市のHPより
■ユニバーサル・デザインは「情報」も対象。
誰もが公平に、確実に受け取れるデザインが大切。
災害情報・食品衛生情報・医療情報・・・
ある人には伝わって、高齢者、身体障がい者、子ども、外国の方には伝わらないとなると困ります
■ユニバーサル・デザイン:ビジュアルデザインのポイント
何を伝えたいの?
★情報の優先順位を明確化する。
★カラーマネジメント
★写真や画像、余白を有効に。
★グラフや図はシンプルに。
★どういう順番で伝えたらもっともよく伝わるか考える。
★細部と全体を常に行き来しながらデザインする
デザインするうえで心がけてほしいのは。
○文字がはっきり見える
○文章が読みやすい
○言葉の意味がわかる
○文章の内容がわかる
○色覚障がい者に配慮したカラーマネジメントをする
○ピクト・イラスト・写真などで視覚的理解を促進する
○読みやすさと美しさが両立されたデザイン
○余分な情報がなく、必要な情報が優先されている
○過剰な表現や情報の不足で誤解を与えないこと
○誤認・誤解のないようにすること
色覚障がいに関しては、OAC賛助会員社さんの東洋インキさんのページを参考にしてください。
http://www.toyo-uding.com/
この後、岡本さんからグリッド・デザインに関するお話がありました。
読みやすく、シンプルで、美しいデザインをシステマティックに行うデザイン手法。フォントを中心に講義。
さて、本日の課題です。
「トイレのアイコンを考えよう」
ちなみに男は青、女性は赤っていうのは日本だけのようです。東京オリンピック、大阪万博時にそうしたようです。「スカートをはく男性がいる国もある」・「女性だってズボンをはく」などもあり、色もつけたらしい。
非常口」サイン。太田幸夫氏。ISO(国際標準化機構)での検討を経て、1987年に世界共通のサインとして採用されました。
さて、みんなまずトイレって何?どうすれば伝わる?言葉でまずは課題やイメージを膨らませていきます。
さて、発表です。
X染色体とY染色体。
トイレをサービスの場として捉え、そこに生理用品や風邪薬、絆創膏なども用意して自分で治す病院的なイメージをつけたい。
岡本さんからは、新しいサービスとしての捉え方の場合、興味を惹くためのチカラが必要。その思いだとするとそこをメインとしたほうがいい。との感想。
今回トイレをプライベート空間として捉える意見が多かったようです。
この場合は、トイレの個室感を出しつつ、密閉されている感じは好ましくないとして、開放部分も設け、且つ水の要素を足しています。
トイレはよく並ぶ印象があるので人が並んでいる様子と、それだけでは通じないので便器をおく。
岡本さんからは、並んでいると逆に不安感がでてこない?
でも、これがデジタルサイネージならあるよね。全然並んでない。少し並んでいる。いっぱいだ!それがわかるようにしてあげたら、別のフロアに行ってみるとかあるかもしれない。情報を伝える動的インフォメーションなら価値が出てきます。
また、今回はジェンダー(社会的文化的な性のありよう)問題も絡んできました。そこで彼女は・・・
あえて分けない方法をとりました。
岡本さんからも確かにこの方法はあるかもしれないトイレ=ウンチマークで共通性、伝わりやすさは出てくる。
男女をマニュキアの有る無し、ネクタイとリップ、そして最後は雉と花。
雉は「雉撃ちにいく」・花は「お花摘みにいく」で男女を表すそうです。が、聞いたことが無いのであとで調べたら、登山の人が使っていたようで、雉は大のほう、花は小のほうと言うのもあれば、逆の説もあり、はたまたこの絵のように男性が雉、女性が花との説や、大小を親雉・子雉と言ったりするようです。
しかし、これを書いた彼はどこからこの情報を仕入れたんだ?
さて、プレゼン後皆さんにみんなが見やすい場所に用紙を壁に貼ってもらい、なぜその場所を選んだかも説明してもらいました。
さて、みなさん思い思いの理由で貼りだしました。
岡本さんの答えはこうです。
これは車椅子の方も、子どもも認識しやすい高さだそうです。
また、美術館などの絵画の展示にも活かされているようですが、比較的若い層や外国人が多く訪れる美術館の展示デザインでは1m55cmに中心位置を設けたそうです。
もう、盛りだくさんの内容でしたがまだまだ岡本さんのネタは尽きません。
本日も時間をだいぶオーバーしてしまいましたが、参加された皆さんはいかがでしたでしょうか。
終了後の懇親会では2名の学生さんが盛んに岡本さんに質問を投げかけていました。