著作権について
それではみなさんの仕事に最も関係する、著作権について説明します。
○ 著作権が認められるものは?
文芸、学術、美術、音楽等が対象となります。キャッチフレーズ、標語は対象となりません。ロゴも雑誌 popyeのロゴ、Asahiのロゴは認められませんでした。写真については、立体物を写した場合には、素人写真でも著作権が認められました。
(絵画等の複写は認められませんでした。)
○ 権利は誰に帰属しているか?
権利は原則、制作者にある。ただし、会社の仕事として制作した場合、著作権は会社に帰属する。また、製作委嘱の場合、権利譲渡か包括的な使用許諾か不明確な場合も多い。権利譲渡がなされたことを証明しなければならない。
(例えば、礼状を出して、文書を残す等。)
映画は特殊であり、著作権は映画製作者に帰属する。CM映画の映画製作者は広告主とした判決もある。
○ 権利を侵害するのはどんな場合か?
真似をしていなければ、別個の著作物として権利は保護される。
改変する場合には、必ず、著作者の了解を得る必要がある。(トリミングも、文字乗せも、改変に該当する。)
写真から絵を描く場合でも、写真の著作権侵害になることがある。
アイディアや作風自体は著作物ではないので、単にアイディアや作風が似ているだけでは、著作権侵害にはならない。
○ 許諾の有無(許諾範囲内の使用か)
著作物の利用に関しては、書面による契約を交わさない場合も、メール等を活用して記録に残すべき。特に許諾の範囲(どのような利用についてまで許諾していたか)について不明確な場合が少なくない。
○ 著作権の制限規定(著作権の対象とならないもの)
付随対象著作物の利用(写り込み):写真の撮影、録音又は録画において、撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は著作権の対象とならない。
→例えば、写り込んでしまった建物や美術品、人物について、著作権や肖像権の対象とならない。(意図的に写し込んでいると判断された場合はだめ。また人物については、肖像権の侵害とならなくてもプライバシー権の侵害となる可能性はある。)
→この規定については、参加者から質問が集まった。
TDRのアトラクションや横浜の建物等、業界内でも写り込みは NGとされるものも多いが?
TDRは映画の著作権で写り込みを権利侵害としていると聞いたことがあります。
横浜の建物は不明ですが。法律的には勝てるとしても、クレームをつけられること自体を嫌うクライアントも多いと思います。あそこはうるさいぞという風説が立つことで、写り込み自体を阻止しているのかもしれません。
以降、具体的事例をもとに、お話をお聞きしました。
旧東京オリンピックエンブレムは、著作権侵害だったのか?法曹界内での見解。
写真を参考に製作したイラストの判例等、興味深い話は、そのまま懇親会の場まで続きました。