まずは見本帖本店を見学。当日は「本迷宮」展が行われており、ミステリ・SF・幻想文学などのジャンルを超えて活躍する作家10名が、「本を巡る物語」をテーマに日本図書設計家協会会報誌『図書設計』へ書き下ろした掌篇10篇を、1冊の本に編み展示。
ブックカヴァーは、日本図書設計家協会会員による装丁と装画により24種に展開していました。
写真後方の寺本役員の進行で、竹尾社長が挨拶。
青柳さんより今回の企画・展示の説明。
見本帖2階の展示を見終わってから、1階の店舗に戻りご厚意でバックヤードまで見学させていただきました。
ご存知の方も多いと思いますが、紙の裏には番号が振ってあり、選んだ用紙をレジに持っていくと、この大きな引出しからお店の方が大きな紙を出してくれます。
バックヤードは紙・紙・紙・・・。
折り曲げるわけにもいかないので、結構なスペースを取っています。
竹尾社長による「紙とテクノロジーと未来について」
日本の紙の生産量は中国、アメリカに次いで現在世界第3位。厳しい時代になってきてはいるが、どう付加価値を付けていくかで変わってくる。
竹尾は創業118年。京橋で産声を上げ、いまに至っています。近年では海外展開も積極的に行い、香港、上海、クアラルンプール、バンコク、パリ、ロンドンと展開。竹尾の持つ紙のクオリティを世界に発信しています。もちろん、国内に留まらないビジネス展開を目指してのことですが、これは1965年に第1回ペーパーショーを開催したのと同様に市場を開拓する意味合いもあります。
ないものは作る・本物をつくる
真似はされても真似はしない。そんなモットーで紙のプロデューサーとして市場のニーズを掴み、ファインペーパーを作り上げてきた竹尾。1949年〜1970年は日本デザインセンターの原弘氏と組み、NTラシャ、マーメイドなどなどを開発。その後、杉浦康平氏小島良平氏、山崎登氏、原研哉氏、水野学氏など様々な方と組んで新製品を開発している。
竹尾としては、製紙技術(メーカー)・デザイン・企画(クリエイター)との間でアイデアを出し合い、ファインペーパー(感性素材)を人の心を惹きつける商品としてマーケットに出し続けている。
「見せる・魅せる・買う」場をつくる
ここ見本帖本店や銀座伊東屋などのショールームやストア、展示会などを通じ、魅せて買う場をつくりあげており、この姿勢は今後も変わらない。
色の白と色の色
白の中の白、究極の白をつくりたい。白の世界標準をつくりたい。そんな思いから開発したのが「ルミネッセンス」。招待状やインテリア(器)、書籍など究極の白を求めるニーズに対応している。
その他、黒の中の黒、赤の中の赤、など商品開発に取り組んでいる。
オンデマンド印刷
よりパーソナルな市場へ、好きなものを好きな時に、好きなだけ。そんな時代に合わせて、デジタル印刷対応の専用紙Deepシリーズを開発。
また様々な用途に応じるために新聞紙風合いのタブロやNTパイル(ポリエステルベースで従来のトレーシングにない特徴を持った透明紙。波打ち、カールが無く、裂けにくく、折り曲げても白化しない)、ブライク(しっとりとした独特の触感)などの製品をラインナップしている。
ものづくり企業・マーケティングカンパニーへ
紙の価値観を追求、海外展開、そして紙から派生した新領域へと竹尾はその幅を広げてく。
質疑応答
Q. 紙にトレンドはあるのか?
A. ここ10年はコストのみ言われて、素材が薄くなってきている。色味に関してはその時代時代で変わっているはず。
Q. 創業118年の竹尾さんが考える事業承継とは?
A. これは日々の積み重ねしかない。 またお客様に対して、また同僚同士でも挨拶が出来なければ駄目だと思う。社員には挨拶だけはしっかりできるようにと口を酸っぱく言っている。とにかくお客様対応はしっかりとしていくべきだ。
創造することに生き甲斐と感動を。
不便さに気づき、便利な方向に持っていくことに執念を燃やすこと。
先輩たちの培ってきたことを大事にする。
私自身、感動を与えられる話をしているか、いつも自問自答している。
最後にロマン。常に好奇心を持って取り組んでいきたい。
以上をもって本日のセミナーは終了した。 その後の懇親会でも竹尾社長をはじめ5名の方が参加され、大いに語り合いました。
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