▼講師プロフィール
演出家、故久世光彦氏に師事し、ドラマAD としてテレビ界で仕事を始め、ドラマ、ドキュメンタリー、バラエティ、情報番組など多岐に渡り、演出、プロデュースを務める。
【主な作品】
『世にも奇妙な物語』シリーズ(CX)、『知ってるつもり?!』シリーズ(NTV)、『ドラマ・東京タワー』久世氏追悼ドキュメント(CX)など多数。現在はテレビ番組をはじめとする国内コンテンツの多言語化や、海外向けの多言語映像の制作にも力を入れている。
今や、フィルムやビデオの時代と違い、デジタル時代の到来とともに撮影ツールもコンパクトになり、誰でも簡単に動画が撮れる時代になりました。「映像はお金がかかるもの」という意識は薄れ、クライアント側も映像制作へのハードルが下がってきているのではないでしょうか。
今後は「映像」を含めたクリエイティブ提案のチャンスが増え、「映像」の企画やコストバランスがプレゼンの勝敗を分けることも考えられます。
そんなニーズを受けて、少しずつでも「映像」にチャレンジしてみたいと考えているクリエイターや経営者の方々へ、どうすればコンパクトかつ、クオリティの高い「映像」を提供する事ができるのかを知ってもらおうというのが、今回の講座です。
長年「映像」に携わってきたプロフェッショナルの小川氏に、今の時代にマッチした「ファストムービー」という概念を伝授していただきました。
▼第一部 講演
司会溝川氏により、18時定刻どおり講師の紹介で始まりました。
動画の変遷
「Graphic」とは、図、図式的、生き生きとした、どぎつい、という意味を持つ。
Graphic Image:どぎつい図
Graphic Images(複数形):どぎつい映像、生々しい映像
映像とは図のかたまりであり、人間の脳が錯覚をおこして、動いているように見えるもの。
絵を連続で見せると残像が残り、間の絵を保管するという人間の脳の働きで映像に見える。
(鳥と鳥かごの絵を裏表に描いてそれを回すと・・・で説明)
円盤に書かれたイラストをまわして動画に見せたのがアニメーションの始まりであり、フランス人リュミエール兄弟は、ガラス乾板の写真を1秒16コマで世界初めての映像上映を行った。
(工場入口の退社風景の映像を紹介)
その後、ガラス乾板からフィルムになり、モノクロから色つき、音つき、ビデオへと変遷してきた。
「Video」とは、撮影する、受像する、映像を送る、など電気的に処理を行うこと。
語源はラテン語のVidere(ビデレ):見る から来ている。
ジョード・カリムはYouTubeの創設者。(象の前の動画を紹介)
iPhone は1200万画素(デジカメ 1800万画素、2400万画素)
誰もがスマホできれいな映像をとることができ、誰もがYouTubeに動画を公開できる時代。
世界中の動画を見ることができ、内容が面白いと世界で注目される。
そんな中、去年あたりから、動画への興味、関心が高まっており、企業の中にも動画に興味を持つ人が増えてきている。
動画でプロモーション、営業はできないか?
その時クライアントが気にすることは値段。
そこで小川氏が提案するのは「ファストムービー」。
「ファストムービー」は、安くて手軽に手に入り、そこそこかっこよく、とっつきやすい。
ためしに導入しやすい動画だ。
実例紹介
事例1)ANAの就職セミナー映像
- 撮影はクライアントの人事部の女性
- 被写体は社員。会社の何がいいかをフリップに書いてもらったシーンの連続。
- 曲はウウルフルズの「ええねん」。「ANA」と「ええねん」をかけている。
■プロが行うこと
■メリット
- 人事部の女性が撮影することで、フレンドリーで人間味のある映像が撮れる
- 安くできる(15万円)
事例2)ANA 企業メッセージビデオ
- 過去の写真を使って編集
- 過去の写真にない部分は、スマホで手軽にとって付け加えた。
■メリット
その他の動画のメリットとして、
- Webサイトに動画を掲載することで、 SEO対策で優位に働く
- 楽しい
- SNSに動画をアップでき、バイラル効果が増す
- キュレーションサイトに動画を利用することができる
- さらにYouTubeにリンクを張り、拡散効果、注目度をアップ
しかし、Webで観てもらえる動画は1分以内が限度。
面白いもの、笑えるもの、アイディア提供をすれば動画の効果を分かってもらえるので提供していきたい。誰でも作れる+プロのアイディアで顧客企業と作っていくのが「ファストムービー」だ。
一方、テレビ、映画は総合芸術であり、たくさんの人がかかわるため、プロデューサーの役割大事である。
ゼネラルプロデューサー
エグゼクティブプロデューサー
ラインプロデューサー
アソシエイトプロデューサー
明確な定義づけはないが、例えば
Client → ゼネラルプロデューサー
↓↑
Agent → エグゼクティブプロデューサー
↓↑
Production → ラインプロデューサー
プロデューサーの役割とは
商業的能力、営業的能力 ←人間力必要
質を見分ける能力、危機管理能力
権利処理
プロデューサーは総合的能力が必要。
プロデューサーは浅くてもいろんなものに触れてキャパシティを広げる必要あり。
得意分野の能力を発揮して組んで、プロデューサーシステムを作りたい。
マグノリアカンパニーの紹介
映像制作、映像にかかわる翻訳を行う。
海外向けに英語や中国語映像のニーズが高まっている。
自社スタジオ、ナレーター、翻訳者の体制を整えることで、ナレーション収録、MA、字幕制作、動画編集まですべての作業を一貫して行うことができる。自社スタジオだからこそ、融通性、即応性、コストを抑えることなど臨機応変に対応できることが強み。
休憩(19:00〜19:20)
▼第二部 iPhoneを使った、映像ワークショップ
実際に参加者の方にiPhone で動画を撮影していただき、プロの観点から考察してもらいました。また、「ちょっとしたコツ」や「ツールの隠れ技」「便利アプリ」を教えていただきました。
お題
1)スタッフの女性をモデルに撮影
2)全員、会場内を動きまわり撮影
3)モデルとモデルを撮影する人を撮影
4)会場を歩きまわるスタッフの女性を撮影
コツと隠れ技
- iPhoneで撮影する時は「機内モード」にすること(撮影中のiPhoneに電話がかかるハプニングがあり、教えてくれました)
- 動画を撮る時は「オートフォーカスをロック」する方がいい
- 録音はイヤホンのマイクでとる方法もある
- 三脚を使って撮影する場合
写真アプリのグリッドを使うと便利
コンパスの画面をスライドすると水平器になる
- ズームは編集ソフトで行う
ここで「Welcome to HAKONE」のビデオ紹介 オールスマホで30万円
これもホテルの社員の方の撮影が中心で、部分的にプロが撮っている。
・複数のビデオ撮影をすることで1本単価を下げる
Webビデオは長さ、構成が重要で動画はWebサイトの入り口となる、つまみ食いである。
最後に、編集する時の素人とプロの違いは、どこを切りとってどう構成すれば面白いか。リズム感を出す。
基本的セオリーは、飽きさせないこと。
テーマを作って撮るなど、いろいろ試してみてください。
|