名古屋初!グラフィック系デザイナーを対象としたWebデザインセミナー「第1回 これからはじめるWebデザイン〜実例から学ぶ失敗しないWebデザイン」が行われました。講師のTIMING(タイミング)代表・北村さんは、グラフィックデザインやWebデザインのイベントに多数登壇し書籍も多数執筆されています。今回は「Webと印刷の違いで気をつけるところ」「Webならではのデザインの考え方」「データ作りで陥りやすい失敗」「Webのワークフロー」などのテーマを中心にご講演いただきました。(35名定員を超える41名にお集まりいただきました!)
▼第一部 講演
Webをはじめた経緯
制作会社を退社してフリーランスのグラフィックデザイナーとして独立。ロゴやチラシなど多彩なデザインの仕事を続ける中、「ホームページの制作はしていませんか?」との要望を受けてWebデザインを学びはじめます。既存のサイトをトレースして「とにかく作る」ことを繰り返し色や構造を理解。学びのポイントは「絶対に知ったかぶりをしない」こと。
Webデザインの流行とこれから
Webデザインの流行は「グラフィックを重視した流れから、動きのあるアニメーション」の傾向に変わり、ユーザーのデバイス環境を考えていくことが重要。UI/UXのために5W1Hをデザインに反映させていくプロセスは、まさにグラフィックデザイナーにとって「得意分野」!
Webデザインの特徴
Web制作に使われるアプリケーションはPhotoshopから変化してきました。近年はベクターデータをWebで扱えるようになったため、パスを使用した表現が増えています。また、レイアウト手法ではグリッドレイアウトが増えてパターン化していることからまさに「Webデザインはエディトリアルデザイン」そのもの。これならグラフィックデザイナーも容易に取り組むことができます。
デザインのワークフロー
Webデザインの仕様で必ず確認したいのは「スマートフォンかパソコン」どちらからの閲覧を重視するかということ。実際の仕上がりイメージを早期に作れるデザインツール「プロトタイピング」ツールを紹介。現在のWebデザインの確認作業は、紙へのプリントアウトではなくてスマートフォンのアプリケーションが主流になっています。
Webデザインのポイント
日本語のWebフォントの問題点から、Illustratorのオブジェクトをコーディングソフトにペーストし文字データにする実践的なテクニック、色・フォント・データのアプリケーションによるアクセシビリティなどについて解説。近年は視覚障がいや四肢障がいのアクセシビリティを意識したデザインも必要とされていることから、PhotoshopのカラーテスターによるWebのコントラスト比や、スクリーンリーダーを使用したチェック機能などが紹介されました。
よくある、おしいWebデザイン
フォントとアンチエイリアスの関係や仮想環境のチェック、レスポンシブデザイン、またデバイスによる差異を確認するための確認ツールについても丁寧にご紹介いただきました。
▼第二部 <質疑応答>
後半は、事前に参加者から提出された質問と当日に受け付けた質問にお答えいただきました。 「紙と違いWebにはメンテナンスなどがあって終わりがないが、その後はどんな対応をする?」「コーダーが組みやすいデータとは?」「使用しているメインビジュアルやモニターのピクセル数は?」「IllustratorやPhotoshopのカラー設定は?」など、参加者から多くの質問が寄せられ、現場ならではのリアルな話にみなさん熱心に聞き入っていました。講演後の参加者からは「Webに対する不安感がなくなった!」などの声も聞こえてきました。
日進月歩で多様化していくWebデザイン。情報サイトやSNS、本やセミナーなどによって独学でも学ぶこともできるはずです。「グラフィックデザイナーはコーディングをする必要性はないが、知識を身につけることは大切。そして、修得した技術や知識を今度は発信することで、よりよい循環が生まれていく」とのお言葉をいただき、本セミナーは終了しました。
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