商品特性をストレートに訴求した広告が多くあった中で、情感のあるこの作品に票が集まりました。想いを巡らせ何度も書き直したのであろう紙屑の山。「返事がもらえるかわからないけれど、」で終わる手紙。書くことへのためらいは、レスポンスの早い現代、ある意味疲れる時間なのかもしれません。それでも、美しく計算された一枚の情景描写に心が動き、改めてグラフィック広告の魅力を感じることができました。(電通テッククリエーティブプランニングセンター次長 小山一博)
何を書くか。誰に向かって描くか。何のために。筆記具と紙は、いつも私たちに本質的な問い掛けをしてきます。受賞作は定番的ともいえるイメージ、ストーリー、ビジュアル要素で構成されていて、これを退屈という人がいるかもしれない。でも、共感が再生産され続けることは悪いことではないです。それはどんなにビットな世の中になっても筆記具が生き延びていく理由なのだと思います。時代に左右されない。それも広告表現ですよね。(ADKアーツコミュニケーションデザイン本部 玉置研一)
誰にもある想いで共感させて商品の特徴を上手に伝えています。コピーとデザインがうまく調和して広告賞グランプリに相応しい作品と思いました。(セットクリエイト代表取締役 宇垣恵一)
曽貴詮(ソウキセン) 日本デザイナー学院2年
ターゲットは高校生と大学生ですので、ユーモア的な誇張する方法と、太い線でペンと夢の関連性を直接的に表現しました。夢の原点というのは、入学願書や履歴書にペンで夢を書いたその瞬間です。夢を追う道を、ずっと支えているペンです。
「あなたの夢と繋がっているペン」というコピーと、商品のフォルムをかたどった長い腕のビジュアルがマッチしていて、印象が強く残りました。メインユーザーである学生に向けた応援メッセージであることも良かったです。ボディコピーも夢のあるもので、このように一本の筆記具が将来につながってくれるなら・・・これに勝る喜びはありません。
ある審査員から、最近の学生はグラフィックを見ているのか、という指摘があった。全く同感である。デザイン以前の、考える力や言語能力といった、本当に基本的な力の不足も昨今の教室では指摘されている。作品を募る、褒める以前に、OACとして取り組むべきことが何かあるようにも感じられた。今後の課題としていきたい。(OAC教育支援部会部会長 黒須治)
受賞した3作品は完成度の高い秀作が揃いましたが、全体としてはサプライズが少なかったように思います。時代を映したテーマや、新しい潮流、次世代への可能性を感じる表現が足りないような。これは今後の課題です。課題をくださった企業の担当の方々つまり「クライアントの視点」と「制作会社の視点」での審査。このような実践的なアワードの先に、次の時代をあらわす広告表現の底上げがあると期待しています。(電通テッククリエーティブプランニングセンター次長 小山一博)
「広告は見られていないな」という印象を強くもった審査でした。それからアイデアやイメージが発芽する土壌が痩せているなとも。デザインを志す皆さんは広告表現に携わる者の鏡でもあります。気づかせてくれた作品たちに感謝です。敢えて苦言をひとつ。世の中の大半は自分に関係のないことだけれど、それをもっと勉強して、課題の商品が立っているリアルと交信する感受性と好奇心を伸ばしてください。来年お会いしましょう。多謝!(ADKアーツコミュニケーションデザイン本部 玉置研一)
今回は協賛企業様の課題がありましたので非常に明確なアワードになりました。全体の印象として広告らしい作品が少なかったように感じます。「伝える力」のさらなる研鑽に期待します。(セットクリエイト代表取締役 宇垣恵一)
今年度の映像部門は、受賞に該当する作品はありませんでした。
審査員長:黒須治(OAC教育支援部会部会長)
審査員 :パイロットコーポレーション
明星食品
宇垣恵一(セットクリエイト代表取締役)
公益社団法人 日本広告制作協会
TEL / 03-3561-1220 FAX / 03-3561-1221
MAIL / mikami@oac.or.jp 担当 三上まで
吉田隆太
多摩美術大学2年
曽貴詮(ソウキセン)
日本デザイナー学院2年
竹内さつき
愛知県立芸術大学2年
竹内さつき
愛知県立芸術大学2年
竹内さつき
愛知県立芸術大学2年
嶋田蒼
日本デザイナー学院
中島智巳
祟城大学
藤田洸介
早稲田大学
塩谷知佳
広告デザイン専門学校
宋念祖
東京コミュニケーションアート専門学校
小林葉月
大阪コミニュケーションアート専門学校
北澤勇一
長野技術専門学校
審査員長コメント
商品特徴の「疲れない」に最もシンプルに応えていた。紙くずだけのビジュアルも検討したのか、そうした点では、まだ少しバランスが良すぎる=引き算の余地を感じさせるところはあった。しかし、課題の理解力・表現力で最上位であったことは間違いない。(OAC教育支援部会部会長 黒須治)