今回は、高校3校、専門学校5校、大学18校の26校より、過去最高の422点の応募をいただきました。
厳正なる審査の結果、以下の作品が見事受賞いたしましたのでご覧ください。
なお、今回の課題は以下のとおりです。
自分で鉄道にまつわる課題を発見し、それを改善することによって、より快適で、より気持ちよく利用できるような、
クリエイティブで斬新なアイデアで解決策をご提案ください。
鉄道の分野は広いです。マナーのこと、混雑のこと、街づくりのこと・・・様々なことがあります。
あなたが気になることを見つけ、ぜひ素敵なアイデアに取り組んでみてください。
◎ 主催 公益社団法人 日本広告制作協会
◎ 協力 公益社団法人 日本鉄道広告協会
◎ 協賛 株式会社宣伝会議・株式会社Too
第8回目を迎えた今回は、「鉄道をより良くするアイデア」と初めてテーマを設定しての募集。
テーマを設定することで、応募数は減るのかな?と、思っていましたが最終的に422点と過去最高の応募数となりました。
2020年2月18日に、公益社団法人日本鉄道広告協会の西井事務局長様にも加わっていただき、予め選出した108点の作品を当協会の担当委員会である「未来価値開発委員会」メンバーとともに審査を行いました。
なお、厳正を期すために裏面に貼り付けられた学校名は見ずに、アイデアが実現可能か、既に世の中に出ていないか、そしてこれをすることにより鉄道は良くなるのかを基準として行った次第です。
今回もゴールドチェンジメーカーは対象者無しとなりました。シルバーの作品は人気が高かったものの、内容は異なるものの過去に同一観点からのアイデアがあったこともあり、惜しくもゴールドとは至りませんでした。
さて、作品に触れる前に今回の応募傾向について触れておきます。
〇 座席の座り方に関すること(座席に仕切り・区別化)
〇 手すりに関すること(手が届かない・衛生面)
〇 ポールに関すること
〇 傘に関すること
〇 階段・エスカレーター
〇 満員電車対策
〇 表示に関すること
〇 痴漢対策
このあたりが多く寄せられていました。
OACシルバーチェンジメーカー
「うさぎの耳(足)を揃えたくなるアイデア」
審査にあたった皆さん、ニコニコしながら選考していました。すぐにでも実現できて、楽しめそうです。
OACブロンズチェンジメーカー
(宣伝会議賞)
「アプリで解決しよう」
痴漢対策では、アラームが鳴る仕組みなど、周りを巻き込み型が多くみられました。ですが、なかなかその勇気が持てない方もいるでしょうから、この辺りをアプリで解決しようというアイデアが評価につながりました。
また、空調アンケートで80%の乗客が暑い、寒いと感じたら調整するというのも面白いアイデアでした。
「空いている車両に乗ろう」
混雑状況がわかる表示案も数多く寄せられました。この案は、表示案を具体的且つシンプルに表示する点が評価されました。
「少しでも早く」
現在学生さんは、スマホなど携帯で出席の登録などしていると聞きます。遅延証明なども確かにデジタル化すべきものかもしれません。
もしくは、事前に学校に遅れる旨の連絡と遅延情報がリンクされて送信できるなどすれば、駅での手間は無くせそうですね。
「誰でも階段を安全に上がることができるアイデア」
A随分若い頃、巣鴨地蔵通りを歩くとお年寄りがたくさん歩いていて、前に進めずこちらもゆっくり歩かざるを得ないことがありました。
ゆっくりゾーン、わかります。しかしこの案では、上りだけを考えていますので、降りるときのことも考慮すると、左右にゆっくりゾーンを設けるべきでしょうね。
お年寄りや、本当に小さい子は、降りるときも時間がかかりますからね。
「常に備えを!安心座席」
この案、確かにわかります。もしもの時を考えると、大型都市では1日以上出られないケースは少ないでしょうから、地方都市などを走る鉄道機関では必要になるかもしれません(都市部では駅に備え付けなどの対策は始まっているようです)。また夏に何か起きた際は、冷房も止まるでしょうから飲料、塩分補給、また、座席下が現在は暖房などが出る仕組みもあり、そこをどうするかなど
各鉄道との検証は必要でしょうね。
※全く同様の案がありました。が、こちらの方がより具体的であったため、協議の上、採用といたしました。
「人のフリみて、我がアシ直せ。」
シンプルで良いですね。区切りのついた座席も出て来ていますが、現状のものだとこういった面白さで気付かせることも有効かも。
Too奨励賞
「親子向け車両のすすめ」
これは都市部の方で、まだ小さい子を育てている方には理解されるかもしれません。実施時間平日11時〜16時(2車両)は、都市部の通勤時間帯は避けたうえでのことでしょう。でも、保育園や幼稚園などあるので、2車両いるかはわかりません。土日祝9時〜18時は、基本的にお休みなので、家族連れも多いし、ある程度の理解を得られそうなので、車両数は1〜2としたのかなとは思います。
準入賞
「立体スタンションポール」
確かに掴めるかも。という声もあれば、満員だと逆に圧迫されそうの声も。でもアイデアは面白いですね。
「天井車内案内表示装置」
これもいくつか同種の案がありました。これは伝え方、見た目の印象で最後決めた次第です。
同じ案だと、伝わりやすいかどうかも決めてになります。これは、仕事や就職の際のポートフォリオでも同様なことが言えると思います。でも、漏れた方もアイデア自体は同じですので、今後は伝え方にも気を配ってみましょう。
「座席区切りポール兼傘立て」
傘立て案もいくつかありました。この案は座席の区切りと傘立てを兼用できる視点で選出されました。
「駅員のための 車いす利用者用ICカード」
私の利用する朝の電車では、いつも同じ車両に車いすの方が乗車し(駅員の方がサポート)、降りる駅でも駅員の方が待機していて、降車します。事前連絡が行きわたっています。事前に登録等をされているようです。この券売機、乗車時間はわかるのかなど、まだまだ改善の余地はありますし、健常者も使えるようにすれば、コスト的な問題も解決しそうですね。
「カードをタッチすると開く優先席」
タッチ式の座席は見たことが無いので、選出されました。ただ、満員時にこのスペースまで立っている人がいたら、使いにくそうだなぁとか、カードの申請時に、何を基準にするか(妊婦やケガをされた方は、わかりやすいですが)お年寄り区分はどこで分けるのかとか、課題はあります。
「カラフル階段」
あまり費用もかけずに実行可能なアイデアですね。シンプルで分かりやすく、選出されました。
「優先席だけの「思いやり車両」をつくる」
禁煙車両と優先席との比較が面白いですね。なお、2020年4月からは飲食店でも原則屋内禁煙となりますね。煙草を吸う方には肩身の狭い世の中。喫煙室が出来たからそこで吸うかとなりますが、自分で吸いながらも臭いが付くのが嫌だという喫煙者も多いのが現実。まあ、こちらは受動喫煙が問題なのですが、「思いやり車両」で全部にするなら、優先席を全て無くすのも手かもしれません。が、このアイデアのように段階を踏んで「思いやり車両」を増やしていったらどうなるか、面白くもあります。なお、誰でも乗車出来て座っていてもいいけれど、譲れる人でいてほしいですね。
「乗り降り思いやりfloor」
混んだ電車の入口で降りずに頑張ってしまう人、確かにいますね。降りづらくなります。故郷から上京し、初めての混んだ電車などではルールがわからないので、こうなりがちでしょうが、明らかに何年も暮らしていそうな方でもそういった行為をする方はいます。要は「人からやられて嫌な事は人にしない」ということさえ、理解できていたらマナーは守れますが・・・。なお、床の文言はもっと短くできたらいいですね。
「ラッシュアワー通行区分」
写真の御茶ノ水駅は、都心でもあるので御茶ノ水まで通勤する方は広い階段から降りて職場や千代田線、丸の内線へ乗り換え。通勤時間帯に乗車する人は、千代田線や丸の内線からの乗り換えの方でしょうか。写真で見ると階段が短いので、朝晩のラッシュ時でも、多くの乗降する方がいる方が、広いところを使うはずです。逆に手すりが無い駅で、ある程度の段数がある階段だと、構内のホームへ向かう階段が大変。特に多くの方が帰るときに降りる駅の場合、一気に登ってくるので、これから駅を使って帰ろうとする人は、電車に乗り損ねたり・・・。その駅それぞれの特性で、どうあるべきかは考えた方が良さそうです。
「色で促す分散乗車」
こちらも満員電車の解消を目指すアイデアとして寄せられた案の一つです。この案だけだと、ホームに並んでいて、そこに来た車両が運悪く乗車率90%の赤の電車ならそれでおしまい。どこかでそれを知らせる仕組みが必要そうです。
※この満員電車解消アイデアは多数あり、色々と組み合わせるともっと良くなりそうです。
「日本の伝統工芸を使用し相模大野駅の空間を活かす」
最寄り駅なのでしょうか、身近な駅の景観を改善したいという想いが伝わってきました。選考からは漏れましたが、その想いにここでご紹介いたします。
さて、今回は「鉄道を良くする」をテーマにしてみましたが、いかがでしたでしょうか。
都心部の学生さんと地方都市の学生さんでは、感じ方に違いもあったことかと思います。
でも、興味をもって取り組んでみるといろいろと刺激にはなったのではないでしょうか。
アイデアって何かをずっと考えていると、何かの本を読んだり、映画を観たり、スポーツをしているときでも、
友だちと話している時でも、「あ!」と思えることがあります。何もないところからは生まれません。いろんな経験を積んで、蓄積されたことがあるもののみ、役立ちます。
今後もいろんな刺激を受けて、進んでいってくださいね。
公益社団法人 日本広告制作協会
事務局長 三上峰生