プロの技を実体験する「わざラボ」と最新コミュニケーション・デザイン分野の情報をお届けする「WEB ビズ研」のふたつのセミナーが合体して「わくわくソリューションラボ」としてリニューアル!
今回は、その1回目として3Dデジタルデータにおける第一人者の原雄司さんをお招きし、新しいビジネスの方向性についてお話ししていただきました。
ケイズデザインラボのさまざまな作品事例
- 和歌山工業高校への3Dツール導入支援
- 世界初3Dプリンターでのウォッチ制作
- オリンピックに出場するスキージャンプ選手をスキャン
→高精度3D全身スキャナーを使い、オリンピックに出場する選手全員をスキャン。
- 大阪大学の石黒教授アンドロイド開発支援
- 現代美術家であるKohei Nawaさんの作品制作協力
海外で展示会がある時、展示会場の近くに3Dプリンターがあれば、そこで作品制作も可能になる。
- 書道家である紫舟さんの作品を立体化
- セゾンカードのCM制作協力
→馬を3Dスキャンして座らせる
- 貴重な文化財のデータを復元
→仏像の本来の姿や色をデジタルデータで再現している
- ホンダのコンセプトカー3Dデータダウンロードサイトの構築支援
- SUBARUのPR動画用3Dプリントラジコンカー制作
→板金は厚みがないので3Dプリントデータにするためには、データをつくりなおさないといけなかったが、実質1週間くらいで制作した。
- 鴨川シーワールドの3Dプリントサービスの支援
- Perfumeのプロモーション動画制作協力
→bodySCAN3Dを使う
- ゆずのプロモーション動画制作協力
- BELLERING少女ハートのCDジャケット制作協力
→ファンの間で話題になり、プレゼント用フィギュアを後に制作
- マキシムから発売されている商品トリプレッソのキャンペーン協力
→松崎しげるさんの頭と同じ大きさのコップを制作
- マツコ・デラックスさんのアンドロイド制作
- DMM.COM事業立ち上げ支援
→ネットで注文、3Dデータを送れば造形物が自宅に届くように
などなど、様々な取り組みを行っています。
現在の3Dプリンターについて
工場でしかつくれなかったものが、パソコン一台あれば個人でもつくれるようになり、すぐに起業できる世の中になった。
高価だった3Dプリンターも、今では安い機種が続々と登場するように。
5万円以下のプリンターも、5年前の100万円くらいの機器に匹敵する性能。
ちなみに現在、3Dプリンターは第三次ブーム。
Visualizing infoによる2015年現在の日本は、3Dプリンターが220億市場を占めると公表している。
また2020年には世界市場では21兆規模になると予測されています。
世界中の3Dプリンターによるさまざまな事例
金属やセラミックの造形3Dプリンターや、陶器を直接造形できるプリンターも。
また、2.6センチサイズをわずか6分で造形できるプリンターも現れる。
- 3Dプリンターで車を製作
- スポーツカーのシェルビー・コブラの復刻版を制作
→軽量でかつ丈夫につくれる。3Dプリンターの良さふんだんに取り入れている。
数年後には自分がデザインした車もつくれるようになりそう。
- 3Dプリンター+ファブリックを使った新しい車の提案
→かわった車の制作などの動きがかなり出てきている。軽い新素材との融合。
- 中国企業24時間で10棟のプレハブを制作
→住宅を3Dプリント。今年は、もっと大きな建物も。
- ルイスグランドホテル(フィリピン)、世界初の3Dプリンターでつくったホテル
→2年後には2000戸以上の低所得者向けの家をつくる予定。
- ファッションやフードにも3Dプリンター
→ルイ・ヴィトンも。
3Dプリンターの課題
これらの問題が、現在解消されつつある。
ラピッドプロトタイピング(試作)から3Dプリンターへ。
つまり、最終製品の造形が可能に!
過去のブームと現在のブームの違いは…
今後のものづくり
ものづくりの民主化の時代へ!
3Dプリンターの現在の特徴
- 1個からでもつくれる
- 複雑なデータも出力するだけで完成
- データは距離を越えられる(ネットを通じて)
構造的+混沌、その二つからイノベーションが生まれる。
これからはストーリー性が必要になる時代。
- 蔦屋家電
→利用者は今の機能性の高い家電を使いこなせていない。歴史やストーリーがわかるやり方で販売していく。商品の隣にストーリーを記した本を置いたり。
ケイズデザインラボの最近の事例
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原さん自身も、娘さんの足のデータをとって、3Dプリンターでサンダルをつくったりしている。
→娘さん大喜び!
- ・ 視覚障害者のための触って楽しむ絵画を制作
→富嶽三十六景など。絵はがきサイズにしたりもでき、3Dプロジェクションマッピングも可能に。
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スーパーフルムーンの照明器具制作
→サイズも変えられる。バイヤーからいっぱい問い合わせもらっている。
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有田焼とのコラボレーション
→3Dプリンターを使って展示会場でペン立てをつくり、販売した。
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金沢の漆塗り職人と料亭の銭屋とコラボレーション
→3Dプリンターでつくった器に漆塗る。銭屋の料理長の要望で皿をつくった。
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SUBARUの動画プロモーション用にプリンターで作ったラジコンカーを75万で販売
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アンドロイド・アスナの制作
→ツタヤ家電で販売員をしている。当初は顔のみだったが、現在は足までできている。
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蔦屋家電でスターウォーズイベントを開催
→デス・スター2のデジタルデータを一からつくり、ランプシェードを制作、
27万5千円で販売し、初日から在庫切れに。
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次元と共同開発したスマホケースを制作
→キルティングや革に見えるが、実はプラスチック素材。
従来の広報では不可能だったことを実現に。
大量生産は今後も必要だが、個人に向けた商品をつくる時代に。
3Dプリンター技術に対する日本の反応
キックスターターのサイトで、レーザーを使った男性用かみそり「SKARP」が発売されたときの日本の反応は…
- もう既にある
- 高価すぎる
- 女性用は既にある
- 幅広くレーザーを放つのは大変
2ヶ月で17種24製品の家電をつくった30歳の女社長が現れたときは…
- 女性社長だからもてはやされている
- バックに誰かがついていて援助している
- OEM/ODMなんてみんなやっている
- 既製品の色を変えただけ
→文句や中傷で終止。新しいアイデアを見てけなす傾向にある。
創った人に敬意を表することがない。しかも・・・
プリンターの基礎技術発明は日本人!
小玉秀男さんが1980年に3Dプリンターを発明し、特許を出願。
しかし、時代も企業も興味示さず、特許の期限は切れ、アメリカの企業が特許を出願。
現在では、米国製品が90%のシェアを誇っている。
→既成概念を壊して、新しい技術を取り入れていかなかったため。
まとめ
ポイント①
3Dデータは…リアルとデジタルを簡単に行き来できる
ポイント②
3Dデータは…さまざまな人の考え方を結びつける共通言語
ポイント③
概念を壊す(Break the bias)
「東京の恵比寿にある会社で実演していますので、ぜひ遊びにきてください」との原さんの言葉で講演は締めくくられ、質疑応答の時間へ…。