THE ORGANIZATION OF ADVERTISING CREATION
OAC 社団法人 日本広告制作協会
NEWS! イベント&セミナー情報
■経営部会セミナー

想像を超える速さで迫ってくる、次の時代。AIで広告制作業はどう変わるのか

パラダイムシフト

Macの登場

Apple社のMachintoshUが登場したのは1985年。それ以降、写植・版下屋さんの多くが「そんなにすぐMacには変わらない」、「デザイナーがコンピュータで線を引くわけがない」、そんな思いが強かったところや、その頃電算写植機を入れた会社は痛い目にあうこととなりました。制作会社はMacの導入に踏み切り、個人のデザイナーもローンを組むなどして高額なMac、ソフト、プリンタなどを求めました。また、デザイナーも当初は、デザインはするが実際にMacを動かすのはオペレータの仕事と考える人もいたわけですが、やはりそれでは今後に乗り遅れると操作を覚えていった時代です。

インターネット時代へ

1990年代半ば以降は、インターネットが一般に普及してきます。メールでのコミュニケーションも始まりました。まだ20数年の歴史ですが、もうなくては生活できない状況です。そしてSNSの登場で、更にプライベートでのコミュニケーションのあり方は変化し、広告のあり方もそれに伴い、変化せざるを得ない時代になってきています。

そしてAI時代へ

AIの登場で、いまの仕事の75%は AIが担う。そういわれて、そうだと思う人もいれば、そんなわけがない、そう思う人もいるでしょう。しかし、既に銀行などでは人員を削減しAI化を進めてしるし、将棋や碁、チェスなどAIとプロが戦い、AIが勝利するなど、今後も進化していくのは間違いのないことです。

歴史は繰り返すわけです。いつの時代も人間の本質は変わらず、過去にあったことは、また今後も起こりうる。Macの登場時、それを否定したり、今後の読みを誤ったところは事業転換に失敗し倒産の憂き目にあったわけですが、それを使いこなそうとした人たちは生き残ったわけです。AIを使いこなす側に立つことが、必要になってくるはずです。

AI(Artificial Inteligence:アーティフィシャル・インテリジェンス)

機械学習

たくさんのデータに基づいて、予測する能力を機械が学習していく。データを入れてあげて、このパターンならこうなる場合が多い、ならばこう返してあげようと学んでいく。もちろん、違う結果が出ればそこを人間が再度プログラミングして修正を加えていく。

アドビでは、Adobe SENSEI(機械学習 AI)を多くの製品に組込んでいます。

  • ○画像やイラスト、アニメーションの意味を理解する能力を備え、手間のかかる反復作業の時間を減らし、クリエイティブな作業に集中できるようにするクリエイティブ・インテリジェンス
  • ○マーケティング分野における顧客の傾向を把握し、見込み客や顧客一人ひとりに応じた最適なタイミングで電子メールを送信したり、サービスとビジネスチャンスを考えるエクスペリエンスインテリジェンス
  • ○ 莫大な量のコンテンツを、文書の背景や画像から受けるイメージなどの深いレベルで理解して検索。時間がかかっていた、必要なコンテンツの特定と仕上げをわずかな時間で処理するコンテンツインテリジェンス

Adobe社は、Adobe Stock(1億以上の写真がストック)は、通信社や様々メディアなどと提携して画像や映像を提供。また、Adobe® Creative Cloud™に最高のコミュニティ機能を提供することで、世界中のクリエイター向けに究極のハブを実現するという戦略を打ち立てており、100万人以上のクリエイターの会員を擁するBehance社を買収したことで更にこの戦略を加速していく。

またWix社は、世界190カ国で1億人以上のユーザーが利用しているWebサイト制作のクラウドサービスを展開。2016年9月に、AIを導入した新サービス「Wix ADI」を公開した。
ユーザーは、AIと対話しながらWebページ制作を進めていくことができる。

さて、AI時代においては、「AI技術・ビッグデータ・コンピューティングパワー」を兼ね備えた企業が最も強い企業といえます。Amazon、Google、Facebookなどがそれに当たります。しかし、全ての会社がそうなれるかというと難しい。ビッグデータに強い、AI技術に強い、それぞれ強みがある企業は提携・協業することで対抗していくことになると思います。
Adobe社も提携・協業しながらその道を模索しており、2016年にはMicrosoft社と提携。

これ以降、Adobe製品のAI技術を紹介。

もしあなたの会社でAIの導入を考えるなら

  • ◇ STEP-1:社内に「AI 準備室」を設置する。AIに関心のある社員を集める
  • ◇ STEP-2:情報収集を開始する。社内で情報共有を進める
  • ◇ STEP-3:できること・できないことの明確化及び協業・提携の検討
  • ◇ STEP-4:「AI準備室」を新規事業部に
  • ◇ STEP-5:AI導入へのトライアル開始

質疑応答

  • Q. デザイナーとして生き残るには?
  • A. 「デザイナーが無くなることはないと思う。しかし画像処理、切り抜き専門の会社は要注意。また、AIがまだ出来ないのは、カッコいいとか、カワイイとか、数値化が難しい領域など、情動に訴える分野。数値化できる仕事は置き換えられると思って、そうでない部分を磨いていくべき」
  • Q. コピーライティングのAIはどんな現状?
  • A. 電通ではAIKO、
    http://www.dentsu.co.jp/business/case/ai_planners.html

    博報堂でも映画のキャッチコピーを制作した入りはしています。
    http://seikatsusha-ddm.com/article/03489/

    また、小説では星新一ショートストーリーにAIで制作したものを応募したりと動きはあります。
    https://dentsu-ho.com/articles/3855

    そして新聞記事も
    https://dentsu-ho.com/articles/4875

    新聞記事は事実の積み重ねに必要なデータと、過去の記事からトーンを導いて作成。しかし、そのために膨大なデータを用いているには違いがありません。新聞記事はまだAIとしては取り組みやすい分野かもしれませんが、コピーライティングに関しては、AIが出したコピーを人間が選択し、再構成するなどの部分があるのが現在だと思います。
  • Q. コンシューマー向けのAIとプロフェッショナル向けのAIについて、素人でもプロのように対応できる部分があり、プロはアシスタントとして使うとあったが、企業がデザイナーに頼まなくてもよくなるのでは?
  • A. 「確かに内制化は出てくると思える。AIがこんなサイトはどう?と導きながらwebを作成する時代。これからは、コンサル領域から入っていく力をつけていくべきだと思う。手間がかかる作業面はAIにやってもらいたい部分として、企画力、提案力、クリエイティブ力はまだまだ人間の分野として、そこを伸ばしていくべき」

77名が参加した今回のセミナー。AI分野と今後に関しての関心の高さがうかがえました。

copyright(c)OAC.All rights reserved.