経営部会セミナーの開催報告 「その広告は必要か」
〜 現役最高峰のCDが語る、今後のクリエイティブのあるべき姿〜 |
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講師 |
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電通クリエイティブディレクター 高崎卓馬氏 |
開催日 |
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2015年5月12日(火)18:00〜19:30 |
参加者数 |
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136名 |
人のココロを動かす
ココロが動かないと人は感動しないし、感動しないと人は動かない。
そのココロの動きを作るときに、ひとつには新しさということがある。近年で言えばプロジェクションマッピングなど、新しい手法には引力があってココロの動きに強く作用する。しかし新しさだけではダメで、テーマとしての面白さが根底にあってこそ新しい手法が成立すると思う。また、最近会議の場において、新人の 8割以上が「ドローン」と口にする。しかしドローン自体はアイデアではない。むしろ逆のことをやった方がおもしろいはずだ。ゼロから 1 をつくるのはこれまでもあったが、これからは更にその1 を 1,000 にすることが大切で、ただ目新しいモノをすぐ使うというだけではナカミがない。
心を動かす基本スキル
言葉の力やデザインの力、音の力や映像の力というのは絶対に変わらないもの。
これらの基本スキルを磨くということを怠ってはいけない。そこに時代の新しさといった変化をいかに掛け合わせられるか。表現×フレームであったり表現×テクノロジーであったり、人の気持ちの中にフレッシュな感動を作っていけるかというのが表現の使命だと思う。そしてその広告がこの世界に必要な理由をいつも考えることが重要だと思う。
「説明」では人は動かない。「感じる」と動き出す。
人の心は振り子のようなもので、驚きという一線を超えると笑ったり泣いたりして動きが発生する。ビックリするようなことがなければ人の心を動かすことは100%ない。
黒い絵
Web 動画には国境がない、世界で知ってもらうことができるという可能性がある。日本で小さい「いいね!」を集めるのではなく、世界から絶賛されるものを作ることで、国内では小さくとも世界で知られる存在になりえる。Webにおいてはグローバルな感覚で考えるべきだが、その時壁になるのは言葉である。
ACの「黒い絵」は言葉が無いから世界中で見てもらえるという点と、人間共通のテーマ設定とした。こういう手法の方が Webでは通じると思うし可能性がある。
本当に良い物をつくると時間を超えると思っている。目指すべきものは本物の表現。
10年後見ても面白いと思うか、親や子供が見ても面白いと思うかがひとつの基準になるのではないだろうか。それが 10年 20年経っても人の心に触れることができるのではないかと考えている。
■質疑応答
Q:企画を考えるうえで、これだったら人に感じてもらえるのではないかということの根拠となるものは何でしょうか?
A:これは自分の母親が喜びそうだと思って大丈夫だと思う瞬間もあれば、世界中で褒められそうだと思って大丈夫だと思う瞬間もある。ただ、この仕事はクライアントの代弁をするという仕事で、そこで働いている人が喜ぶかということが一番気になる。
担当のみならず、見ず知らずの営業さんやその家族や子供が喜んでいるかといったことが気になる。それは絶対に満たさなければならないことで、それプラス自分も満足できて全てを乗り越えられるといったものでないと嫌だと思っている。
自分に制約を与えていると、それを越えられなくて気持ち悪くなり自分は向いていないのではないかと思ったりするが、ポンっとそれを超えてく瞬間がある。すると、意外と全部解決していたりするもの。全く妥協しないアイデアというものが絶対どこかにあるはずだと信じて悩んでいると、見つかると思っている。
<最後に>
東日本大震災の後、東北にオリンピックを誘致したいと自ら動き出した高崎さん。
その後、東北への想いを秘めながら2020年東京オリンピック誘致委員会メンバーとして重要なプレゼンテーションを担い開催決定に結びつけることとなりました。
現在オリンピック組織委員会クリエイティブディレクターとして再び精力的な活動を続けていらっしゃいます。
まだまだ質問もあったとは思いますが、終了予定時刻を過ぎてしまい終了となりました。
広告業界の第一線を走り続ける高崎さんの熱のこもったセミナーに、予定人数を大幅に超える参加者で溢れかえった会場は圧倒され、きっとココロを動かされたに違いないと思います。
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