近藤委員長の進行で委員会は始まった。
近藤 アンケート結果では、4月時点に比べると回復傾向にあるものの、まだまだ通常通りとはいきません。各社の主要クライアントも苦戦を強いられる中、新たなクライアントや業種への営業的なアプローチはどのようにされていますか?
○新規獲得に向けては、テレアポを行っている。またデジタルシフトに向けての動きを加速させていきたいと思っている。当社はグラフィックと撮影がメインにて、デジタルシフトを考えた場合、現状では自社内で出来ることは限られているので外部パートナー(コロナ禍の中、AI やWEB 等の技術を持った会社からの売り込みが多いが、その中で気になった会社と会い、良いと感じた会社を含む)と一緒に 営業を掛けている。現状では、当社は窓口に徹した動きではあるが、やりながらノウハウも身に着けていきたい。
○当社は百貨店をメインにしているが、2.3 年前から他のクライアントにも積極的に取組み、他のクライアントの売上比率を高めようとしている。また当社もグラフィック中心なので WEB 会社とも協業してデジタル分野にも取り組んでいるところ。 百貨店自体は、ご存知のように厳しい状況にて、紙媒体の全面中止の発表や内製化に向けた取り組みも始まり社員のクリエイター化も考えている様子。それに対してアドバイスを求められるなど、 複雑な心境ではある。
○当社は編集エディトリアルが中心だが、その出版物の時期により売上は月により変動するので、売上の低い時期を強化するためにも、新しい分野として「教科書」の編集にも参加することにした(教科書は4年に1回の改定)。なおスポーツ系・旅行系の雑誌などは、それ自体が行われなかったり、 制約があるなどで苦戦している。
○当社も百貨店をメインにしており、売上比率の 50%はキープしたいが、なかなか増えていかない。そこで、食料品や他の商業施設など、いままで培ったノウハウを活かしやすい分野に攻勢をかけてはいるが、やはりこの分野も同様に厳しく、比率は伸びてはいない。しかしこのまま手をこまねくのではなく、 新規に向けたアプローチを重ね、現状の取りこぼしがないようにはしたい。
近藤 売上がなかなか伸びない中、利益率の向上を考えているとアンケート回答にあったが、どのように向上させていくのか?
○利益率を粗利(限界利益)でみるのか、営業利益でみるのかはあるが、当社では海外向けのカタログなど、海外向けのものの利益率が高かったが、今回のコロナで大きな打撃を被っている。今後は固定費に手を付けていかざるを得ないのかもしれない。また、DX(デジタルトランスフォーメーション) ではないが、アプリ開発にも以前から取り組んでおり、こちらは自社開発なので利益率確保の面では期待は出来る。もちろん、その内容が問われるわけだが。
近藤 対面営業が出来難い今、WEB セミナーなど新たな取組みもアンケートに出ていますが、その辺りはどうでしょう?
○以前からこの委員会でお話ししている、「自動組版普及」のための何社かと共同で開催している WEB セミナーはほぼ毎月開催している。しかし当初200 名規模だった参加者も50名ほどと落ちており、今後はどう集客するかがカギとなっている。また、カタログ制作自体は厳しいのが現実。会社に届く1000p 強のアスクルカタログも、秋冬号は中止になった。また毎年行われている池袋サンシャインシティでの「Page2021」も来年 2 月に行われる予定だが、これもどうなるかは様子見の状況。
近藤 10 月21日(水)~23日(金)にかけて東京ビッグサイトにて「コンテンツ東京」が開催されます。 OAC 加盟社からは<アクロバット・ジャパンプランニングセンター・ スパイス・東京アドデザイナース・ 東京グラフィックデザイナーズ&フレンズ・TCD・2055・ヒグジム・モリサワ>が出展。 新規獲得には、直接組んでみたいと思う会社を求めて来場する人がほとんどだと思いますが、今回コロナ禍の中での出展に踏み切ったのはどのような理由からでしょうか?
○当社は毎年出展しており、新規の獲得など効果があったので、来場者数は減少するであろうが、逆にそれを見越してくる方に丁寧な説明が出来ればという考えでいる。
○当社は昨年に続き2度目だが、昨年初めて出展したのは幹部社員が様々な方に触れ合える場として捉え、教育の一環として考えていた。今年はコロナにより売上の大幅な減少で10月以降も厳しいと思う。いまは、テレアポ会社と組んで新規獲得にもあたっているが、今回の出展では直に新規を獲得する機会と捉えている。
近藤 今回のコロナではなかなか先行きが見えない中ですが、中・長期的な経営計画についてはいかがでしょう?
○事業構成の分散化を進めている。今まで主要となる広告会社に偏っていた体制を直クライアントの充実や他の広告会社にも向けてく。またグラフィックの構成比率が現在70%だが、それ以外の領域を増やしていきたい。デジタル・UI・UX デザイン・動画などだが、現在は外部委託している部分もあり、利益率の向上は今後の課題。
杉谷 雇用調整助成金を活用された会社さんは、どのような休み方を取り入れたかなど伺いたい
○当社では制作業務以外に、自社製品の小売店舗を構えている。4月~6月は、そこをクローズし、 アルバイト従業員の方に対して休業補償を行った。
○当社の場合は、週 2日の特別休暇の取得を前提にスケジュール化。3月~8月に実施。9月以降も雇用調整助成金の申請を行っている。
○当社でも申請・実施したが、この秋冬はいまのところ計画はしていない。しかし、他の助成金で良いものがあれば活用したいとは思う。
近藤 このような状況が続き、採用等(新卒・中途・派遣)はいかがでしょう?
○人材派遣で見ると、WEB関連(コーダーやエンジニアなど)の要請・問い合わせは多い。また、派遣期間で行くと、短期・スポット的なものが主となっている。なお、事業会社(企業)からの依頼が7割近く占め、こちらも内製化の傾向が出ていると推測している。 新卒採用に関しては、グラフィック系の依頼はほぼ止まっている状況。美大でみても、昨年の今頃は 内定率が60%以上であったものが、現在は30%くらいである。非常に厳しい状況である。
○専門学校や短大などの方と話していると、採用の声が掛からず非常に苦戦している様子。当社でも採用は見送ろうと思っていたが、逆に言うと良い人材もいるはずと考え直し、2,3 人と少人数だが採用することとした。
○当社もこういった不測の事態にて採用を見送る計画だったが、営業職 2名の内定を出した。制作は外部パートナーに行ってもらっており制作者の新卒採用は無いが、ディレクションが出来る広告経験者の採用も検討中である。
近藤 最後に今回Tooさんが参加されているので、テレワーク下での状況等お聞かせください。
○当社はMacなどの機器やAdobeなどのソフトウエア、プリンタなどを扱っているが、コロナでセキュリティやネットワーク構築などテレワークの相談、また働き方を変えていくにあたりどのようなことが必要か、など、相談も増えている。ちなみに、プリント枚数は、4 月頃は例年の50%とオフィスではなく在宅勤務を行っていることが如実に示され、ここにきてようやく70%くらいに回復してきた様子。 なお先日OACさんと共同で行ったオンラインセミナーのように、業務効率化につながること、またコストダウンを今後考えるにあたってはアドビのソフトなど数をまとめて購入出来れば安くなる可能性もある ので、その辺りをお考えの際はひと声かけていただければと思います。
以上で本日の経営委員会は終了した。
次回は11月17日(火)予定。