近藤委員⾧の進行にて会はスタート。本日のテーマ説明の後、川俣さんのセミナーは始まった。
昨年労基署が当社に立ち入り検査を行った。30年ほど前に一度あったようだが私にはその記憶はない。 クリエイティブの仕事を工場などの仕事と同類と考えているような指摘があり、納得出来ない部分もあった のが正直なところです。また、社員の中には「もっと、このクリエイティブを突き詰めていきたい」など、単なる 時間では測れない部分があることも伝えたが、先方曰く、「一番大事なのは社員の方の健康です」。
その後、当社では働き方に関して専門家を交え検討を重ね、日本デザインセンターとしての「新しい働き方」の仕組みを本年7月1日より実施する運びとなった。これに伴い、「裁量労働制」は廃止(労基署 の見解では、当社社員の8割は対象外に当たるとのこと)。22時から5時の深夜作業の禁止(1日7時間、それ以上の時間は残業代の支払い)、法定休日日(各社で決められる)は出社禁止とする こととしている(急ぎ等でどうしても仕事の必要がある際は、振休や残業代の支払いで対応)。 また、各自の時間管理のためにシステムを導入し、その情報は直属の上司や担当役員も把握できるよう にする。また、⾧時間勤務になっている社員には産業医との面談機会を設ける予定。 もちろん、7月以降実際に稼働してから出てくる問題もあるだろうし、クリエイティブを時間で管理するのが 正しいとは言えないかもしれないが、あくまで社員の健康を一義に考え、且つクリエイティブであり続ける会 社を目指していく。
受注した様々な仕事をただ作っているだけでは駄目。会社を大きくするのが目的ではなく、クリエイティブ面 で日本を支えていくこと。それを継続し、クリエイティブの質を高めビジネスにする。 日本デザインセンターの価値(商品)は、あくまでクリエイティブである。 この姿勢は創業当時から変わっていない。 昨今、AIがデザインする時代はまだ先だ、いや目前まで迫っている。そんな議論もあるようですが、当社としては作業部分ではなく、もっとクリエイティブの川上を目指し、原点から関わっていきたいと思っている。
いまクライアントから求められているものが何か、本質は何かを分析し、可視化し付加価値を創っていきた い。付加価値とは、クライアント、そしてお客様に行動を起こさせること(購買意欲につながるよう、気持ち を動かせる)。
寿司を知らない人に、235粒の酢飯を軽く握り、ワサビをのせ、その上に魚を・・・。という説明が良いのか どうか。寿司って何だろう?と、その本質をどう捉え、表現すると伝わるのか。その辺りを考える習慣を付け ていくべきだと思う。
また、現在ではコスト感覚・スピード(働き方の話で、クリエイティブは時間では測れない部分があると言い ましたが、ビジネスの側面では大事な部分でもあります)も求められています。
整理すると、
〇 本質を可視化する
〇 コスト感覚にシビアであること
〇
スピードも大切に
クルマのカタログや WEBの依頼を受けたとします。しかし、免許を取らない若者が多い中、このまま依頼 通りにつくっているだけで良いのだろうか。ここにも、問題の本質を探る姿勢は大事になります。 もちろん依頼を受けたものは制作しますが、プラスアルファ依頼とは別の提案もしています。 例えばパッケージデザインの仕事を受けたとして、パッケージデザイン案を提案しつつ、消費者の理解を更 に深めるために動画もつくりましょうと提案してみる。そんな姿勢が大事になってくると思います。
数年前から、ものづくりで成り立っていた日本経済も鈍化傾向にあると想定し、今後日本が生き残ってい くためには何が必要かと模索していた。その結果、国内だけではなく海外からの観光などでの経済の転換 が行われるであろう、観光をベースにしたものになっていくであろうと想定した。そこで観光に関して、クリエイ ティブで何が出来るのか、「日本の良さ」を伝える提案材料を集め始めました。そんな矢先に新型コロナウ イルスが発生したわけです。 なお、当社では「VISUALIZE 60 Vol.2」を当社 13 階で行っています(6月27日まで)先に行った Vol1 の展示30作品を総入れ替えし、新たな30作品を展示。 何かのヒントになるかもしれませんので、まだご覧いただいていない方はぜひお越しください。 (予約制) https://visualize60.ndc.co.jp/exhibition/74
出来るだけ多くの人を採用したく、新卒・既卒を問わず募集している。もちろん中途採用も実施している。 なお、採用にはミスマッチングが無いように慎重を期し、時間を掛けている。
先ほどの「本質を可視化する」ことも、社員には事あるごとに伝えている(ランチミーティング・期初・年始な ど)。また、経営に関することも透明性を大事に、具体的に説明している。 また、当社では年間に約 2,000のプロジェクトが動いているが、悪い作品を世の中に出さないためにも、 一つひとつのプロジェクトに関して、また一人ひとりのことを上⾧が確り見てサポートするようにしている。
当社内で全てのことが完結出来るわけではない。足りない部分は、外部の方と組んでいる。特に新しい分 野のもので、企画上やりたくても内部にその力が足りなければ、専門知識・技術を持ったところと組むのは 当然だと思っている。
社員の中には休暇をとって2年くらい海外に行かせてくれと言ってくる者もいる。帰ってきて、それが役立っ ているかどうかは判らないが、出来る限りの応援はしていく体制をとっている。
クリエイターのキャリア形成にて、制作会社から広告会社へ、また個人事務所の設立などがあるが、〇〇 研究室を始めた当初の考えは、個人事務所のような働き方も当社内で出来るように、そんな考えからス タート。現在は、各研究室それぞれがビジネスとして運営できることが条件となっている。 研究室を受け持つ人は、ビジネスとして成立させ、部下の教育・指導が出来る人でなければならない。 当社のブランディング向上とか、スター選手をつくろうという意志は全くないというのが正直なところです。
以上で、川俣さんのお話は終了。何か質問があれば今後も何でもお答えしますので、お気軽にご連絡く ださいとのこと。近藤委員⾧からは、今度は各項目のどれか一つに絞り再度お話を伺う機会も設けたいと の意見も。
皆さま、ご参加ありがとうございます。