近藤委員⾧
前回の「メルマガ編」に続き、今回も OAC
会員社さんにお話しいただく「新規事業編」をお送りします。
新規事業というと、躊躇して手を出しにくい、ハタマタやってみたけれど懲りた!そんな方々もいらっしゃるかもしれませんが、今回は新たな試みである事業を行うに当たり、そのキッカケや苦労している点などをお聞きし、お互いに刺激し合える場になればと考えています
実店舗:東京都千代田区神田神保町 1-26
オンラインストア: https://primart.stores.jp/
主に活版を用いたオリジナル商品を制作・販売。ポチ袋、ブックカバー、ギフトバック等多岐にわたります。
当社の設立は、1995年。それまでお世話になったイラストレーターやカメラマンの皆さんにも恩返しがしたいと、当初から「今後は(若手)クリエイターを応援するのも我々の使命」と考えていました。 そして実際に、フランス人イラストレーターの damik●(ダミコ)氏の個展を日本で初開催するなど行って きました。
※(事務局注)その後、それがキッカケの一つでしょうか 2018 年には日本橋高島屋さんでも展覧会が行われたようです。
damik●(ダミコ)展を開催したのは、初めは当社内。しかし、それでは人も招き難いのでその後はギャラリーを借りて運営。会場費だけでも費用は嵩みます。クリエイターが集い、作品を発表できる場を設けられたらと考えるようになった。
2015年、会社設立20周年のパーティを知り合いのハウススタジオを無償で借りて開催。取引先を招いて、トラックの未来像を知ってもらう機会とした。 その場でクリエイターのチカラを発揮できる場、工房でも良いし、作品を発表する場でも良いし、多くのクリエイターが集える場を設けたい旨を発表した。 またその頃、海外では活版印刷ブーム。調べると手動式の活版印刷機(テキン)が日本にもあることを知ったのもその頃です。実際にテキンを購入し、いよいよ PRIMART を始動させます。
自社の未来像に賛同した社員が乗り気になってくれました。自分たちで製品を創る場がある!これが魅力だったのかとは思います。そして、実際に販売やギャラリーとしての運営をするならどこが相応しいか色々とあたってみました。下北沢、吉祥寺・・・・・・結局、事務所近くの同じ神保町が活版印刷との親和性も高いと判断し、店舗を構えることとしました。 ちなみに、社員を巻き込むにはハッキリと自社の未来像を語ること、賛同してもらうことが大切だと思いま す。
活版印刷で制作した小物を中心に、大人の駄菓子屋的なお店です。単価も安いので、なかなか収益を 上げるのは大変です。 さて、オープン間もなくたまたま通りかかった OZ マガジンの女性編集者の方が見開きの記事として PRIMART を取り上げてくれました。その後、おそらくはその記事を読んだのでしょう、家庭画報や台湾 Walker、メトロガイド、朝日新聞、散歩の達人などに紹介されました。 特に「街歩き系の雑誌」を見た人には有効なようで、時間が経っても「あれを見て一度来たいと思って」という声が聞こえてきました。
WEBメディアに掲載された場合は、反応が良いのですが、ラジオは効果がありませんでした。また、自社で も twitter、Face book、InstagramとSNSを使っていますが、圧倒的にtwitterの反応が良いよう です。PRIMARTの購買層は幅広いとはいえ、女性が8割強を占め、20代が中心だと考えられます。 また、オンラインストアの会員になってくれた方向けにメルマガを配信しています。
また、この事業を始めてから当社自体のリクルーティングにも役立っており、自分もこんなところで働きたいという声は多くなりました。また新規の得意先にも有効に働いているようです。
WEBメディアに掲載された場合は、反応が良いのですが、ラジオは効果がありませんでした。また、自社で も twitter、Face book、Instagram と SNS を使っていますが、圧倒的に twitter の反応が良いよう です。PRIMARTの購買層は幅広いとはいえ、女性が8割強を占め、20代が中心だと考えられます。 また、オンラインストアの会員になってくれた方向けにメルマガを配信しています。 また、この事業を始めてから当社自体のリクルーティングにも役立っており、自分もこんなところで働きたいと いう声は多くなりました。また新規の得意先にも有効に働いているようです。
【質問】
Q. お店のランニングコストってどうなんですか?<杉谷(アクロバット)>
A. 家賃・光熱費で約 20 万。人件費は基本的に社員ですので給与となります。ということで、コスト面ではさほどではないかもしれませんが、お店単独での収益は厳しいのが実態です。
Q. リクルートと新規のクライアントへの効果について<杉谷(アクロバット)>
A. リクルート的にみると、興味がある人が多いのでしょう。その意味では、この分野(自分たちでものづく りを行うこと)のニーズはあるともいえます。新規のクライアントでは、ものづくりを行っている企業には親和性が高いようです。
Q. リアル店舗と EC サイトの売上比率とそのノウハウを活かしたコンサル的な展開は? <杉谷(アクロバット)>
A. 売上比率では店舗9:ECサイト1となっています。ノウハウを活かして・・・・・・とまではまだ言えませんし、今はまだ感覚的過ぎて数値に落とし込めていないのが現状です。
Q. 社員を巻き込んで進めてきたということですが、社員の皆さんのモチベーションのその後はいかがですか <佐藤理事⾧>
A. 真っ先に賛同してくれた社員は、面白がってやってくれましたが「このような体験をさせていただき、 ありがとうございます!」と言って退社・独立しています(笑)なかなか難しいですね。 また小売り業を行ってみての感想ですが、通常の広告の仕事では入金は銀行振り込みなわけですが、店頭では、お客様から直接代金を現金で受け取れるわけです。この嬉しさは、また格別です。 小売店ならではの、小さな醍醐味かもしれませんね。
皆さまからショップ運営について、提案やアドバイスがございましたら大歓迎です。 ぜひ、よろしくお願いいたします。
最後に、PRIMARTが取り上げられたテレビ大阪の「彼女とデートなう」を近藤委員⾧が紹介し、小泉さんのお話しは終了です。 https://www.tv-osaka.co.jp/DateNow/date/case46/
https://mitsui-shopping-park.com/lalaport/special/shop-movie-live/2/
2020 年春頃、コロナが広まりだしたその頃に三井ショッピングパークに対して半年先、1年先を見越した提案を行いました。その時点で、デジタル化が先行する中国やイギリスなどでは既にいくつかの事例があり、 現地のパートナーの知見も参考ししながら 20 案ほどを提案。クライアント側では Withコロナ時代にリアル店舗の強みを活し方法を模索しており、それを叶えるべくTVショッピングをオンラインで行うイメージで 各店舗を取り上げ、ライブ・コマース施策を実施する方向でまとまりました。
2020年12月にスタート。以来毎週複数回配信しており、現在まで110回を超えています。 なお、2021年4月8日から緊急事態宣言対象地域の施設にて一旦施設を閉館することになりまし た。その間も、オンラインならショッピングは可能です。お店のスタッフの方に来ていただき、閉館期間中も配信を続けました。 当社では、各SHOPの方と組んで、構成台本の執筆・撮影・配信・解析・サイト制作、時には SHOP の方々のお悩み相談までトータルでサポートしています。ファッション分野からスタートし、家電や雑貨では 料理やレシピを組み合わせて紹介したり、ヨガの回を設けたり、いいモノ厳選!ららぽーと百名品と銘打って様々な商品を紹介するなど、飽きの来ない工夫をしています。
コロナ禍でなかなかお客さんもお越しになれない中、オンラインで各店舗の方が出演し話すことで、実際の 販売と同じように、どんな雰囲気で話せばよいかなど、色々と考えてくれています。また、反応も気になるよ うです。なおこの施策は売上だけをコンバージョンにしているわけではなく、配信によっては売上額が限られた配信もあります。また、SHOP側としてはこの試みでメディアに取上げられたり、購買層が憧れるゲストの モデルやスタイリストの出演でることなどで、スタッフのモチベーションの向上にも寄与しているようです。
コロナ禍のお店の戦略として、またコロナ収束後もリアルとオンラインをシームレスにつなぐ二重戦略は必要になってくると思っています。そのためにも、各SHOPが比較的容易にこのMEETS SHOPを継続できるように、初期段階から「スタッフ向けライブコマースマニュアル」を制作しています。 スケジュール・話し方・振る舞い方等々を網羅しています。 また、ららぽーとは全国展開していますが、国内 10 カ所に撮影・配信用機材を用意し、ゆくゆくは自分たちでも出来るように、素人の方でもプロ並みの配信や撮影ができる100ページ強のマニュアルも作成しま した。
【質問】
Q. かなり運営が大変かと思いますが、スタッフ体制は?<湯浅(たきコーポレーション)>
A. 当初は関西・東海地域等も行う予定でしたが、コロナ禍の影響もありエリアをまたぐのは時期的にも大変な状態でしたので、施設が集中する関東エリアのみで対応しています。スタッフは自社社員を中 心に提携しているパートナーと行っています。その他の地域に関しては、リモートでの打合せで先ほどお伝えしたマニュアル等を説明し、現地でも出来るような仕組みをつくってはいます。
Q.同じような試みをしているところはあると思いますが、差別化は?<木下(ジェイスリー)>
A. 「ライブ・コマース」を始める企業が増えていますが、多くの企業やメディアが行うのはインフルエンサーや コマーサー、PR 担当者が出演して商材をプロモーションするライブ配信。それもやり方としてはひとつですが、本プロジェクトでは、実際にららぽーとの店頭に立つ店舗スタッフと顧客を繋ぐこと・店舗のファンを作ることという、リアル施設ならではの強みにフォーカスしています。そのため、例えば楽器店やアウトドア店舗など、一見するとライブ・コマースと親和性が低い店舗にも積極的に参加してもらっています。 ライブ中にECから購入いただける準備はしていますが、後日、楽器店でライブ中のスタッフの演奏を 聞いて店舗にお客様が会いにきてくれたり、アウトドア店ならテントの建て方を聞きにきたりと、そういった形でお客様に楽しんでいただけるのもリアル施設ならではだと思います。実際、出演したSHOPのが嬉しかったという声が目立ちます。
併せてご質問いただいた STAFF START はバニッシュ・スタンダード株式会社が提供している店舗 スタッフをDX化させ、自社 EC サイトでオンライン接客を可能にする“Staff Tech(スタッフテッ ク)”サービス。 これはコーディネート投稿や動画、レビューなどのコンテンツを通じて店舗スタッフが顧客に接客を 行い、その売上や貢献を可視化。個人や所属する店舗の評価につなげる)など。 三井ショッピングパークの EC サイトでも一部で取り入れていますし、弊社としてもおすすめのツールです。https://www.staff-start.com/
他にも様々なライブコマースツールやスタッフによるコンテンツ作成のツールが登場しているため、 弊社では複数を併用しながら、日々最適解を探しています。
Q.ららぽーとの店舗数が多いわけですが、最終的には各ららぽーとが自ら出来るようになることを考えて いますか?<木下(ジェイスリー)>
A. 最終的には自ら行える方向になることを望んでおり、そのために機材関係のマニュアルも用意しているわけですが、こちらの手が離れ自ら行えるようになるにはまだ時間が掛りそうです。他案件では導入・ロ ーンチのサポートのみスポットで対応しているケースもありますが、施設のブランドイメージに沿う配信の質の担保という観点から、全てをクライアントに任せるのは心配なことも多いです。
ちなみに今までの経験では、配信する動画や音声の質や配信内容(構成)などで売上にも変化が見られます。ストレス無く見ていただく環境と、その内容、どちらも大切なようです
最後となりますが、現在次年度に向けて色々と準備中ですので、一度ご覧いただき、ご意見を頂戴出来れば幸いです。また、本件(また別件でも)一緒に取り組めるパートナーを常に募集していま す。その際はお声がけください。
以上で野坂さんのお話は終了です。
近藤委員⾧
小泉さん、野坂さんありがとうございました。お二方とも真摯にまた積極的に取組んでいらっしゃる姿が窺わ れ、大変刺激になりました。ありがとうございます。 なお、11月は2055村田さん、アズワン中田さんにお話を伺います。
以上で、本日の経営委員会は終了した。 次回は、11月16日(火)を予定しています。